2004 Fiscal Year Annual Research Report
光触媒により発生するラジカル・イオン中間体の動的挙動の制御と機能化
Project/Area Number |
14050069
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
石黒 勝也 山口大学, 理学部, 教授 (40202981)
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Keywords | 光誘起電子移動 / 犠牲ドナー / テトラシアノキノジメタン / ラングミュア・ブロジェット膜 / 導雷性有機薄膜 / 光増感反応 / ラジカルイオン中間体 / 一電子酸化 |
Research Abstract |
有機光化学反応におけるラジカルやイオン性中間体がもつ様々なユニークな特性を利用し、界面での一電子移動により駆動される分子構造変換を機能化することを目的に、光照射により導電性が制御できる有機薄膜の構築を試みた。光誘起一電子移動により発生するラジカルカチオンが容易に結合開裂し、カチオンとラジカルに分解する分子は、電子供与性の犠牲ドナーとして機能する。低い酸化電位を持つラジカルはさらに酸化され、結果として2電子を不可逆的に放出し、安定なカチオンとして系内にドープされる。こうした犠牲ドナーと、電子のドープにより導電性を示すことが知られているテトラシアノキノジメタン(TCNQ)の結晶の混合物について固相光電子移動反応を試み、犠牲ドナーとしてジアミノエタン類を用いたときに、結合開裂によるドーピング反応が進行することを見出した。しかし、TCNQアニオンラジカルは対カチオンと塩を形成し、導電性カラムが保持されず、導電性は発現しなかった。そこで、ドーピング後も構造が保持されるように、長鎖アルキル基をもつC18TCNQのラングミュア・ブロジェット(LB)膜を用いることとした。犠牲ドナーとなるジアミノエタン化合物には、分子内増感部位としてRe錯体、また、単分子膜形成のための長鎖アルキル基を導入した誘導体を合成した。これらは良好なLB膜を形成し、交互積層膜に光を照射すると、TCNQが導電性をもつ場合に特徴的な近赤外領域の吸収帯の出現が観測された。導電性測定では、光照射前はほぼ完全な絶縁体であるが、光照射後には、電流が流れる様子が観測された。電気伝導度は10^<-6>Scm^<-1>のオーダーとあまり高くないが、光照射の条件によりドーピング量を自在に変化できる可能性があり、光による直接的な電子回路の書き込みなど、新規な機能性への応用が期待される。
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Research Products
(2 results)