2005 Fiscal Year Annual Research Report
光触媒により発生するラジカル・イオン中間体の動的挙動の制御と機能化
Project/Area Number |
14050069
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
石黒 勝也 山口大学, 理学部, 教授 (40202981)
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Keywords | 光誘起電子移動 / 光触媒 / ラジカルイオン / クアドリシクラン / ノルボルナジエン / フォトクロミズム / フリップ・フロップ / 異性化反応 |
Research Abstract |
光触媒などを用いた光誘起電子移動反応を界面プロセスに適応させ、新規な機能をもつ反応系の設計・開発を行うことを目標とし、置換ノルボルナジエン・クアドリシクラン異性化系を用いた新規な可逆反応系構築について検討している。ノルボルナジエンの光付加環化により生成する高歪み化合物クアドリシクランは、一電子酸化によりラジカルカチオン中間体を経てノルボルナジエンへと開環する。このときノルボルナジエンはクアドリシクランよりも高い酸化電位を持つため、光合成のZスキームに見られるような酸化電位の増幅がなされる。そこで、両者の酸化電位の間の電位で酸化され結合開裂を起こす基質を組み合わせ、基質が酸化されないはずの低い電位で酸化されるような新規電子移動反応系の開発を試み、低収率ながら、酸化電位の増幅による反応の進行を見出した。また、本可逆反応系の特徴を利用し、水相-油相間物質移動の光制御について検討を行った。昨年度見出されたpK_aの差が1.5程度あるノルボルナジエン・クアドリシクランカルボン酸について、光を照射するとクアドリシクランカルボン酸に異性化して有機層に移動し、次に光を照射したときに、有機層に溶解した増感剤によりノルボルナジエンカルボン酸に異性化して水層に戻るという変化を繰り返すフリップ・フロップ型フォトクロミズムが期待できる。そこで、有機層と水層への分配を、種々の溶媒条件・pHについて検討を行ったところ、溶解度の低いシクロヘキサンを用いることにより、酸性度の違いによる分配率の差が顕著に表れ、光異性化に伴う界面での物質移動が観測された。
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Research Products
(1 results)