2006 Fiscal Year Annual Research Report
光触媒により発生するラジカル・イオン中間体の動的挙動の制御と機能化
Project/Area Number |
14050069
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
石黒 勝也 山口大学, 理学部, 教授 (40202981)
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Keywords | 光誘起電子移動 / ラジカルイオン / フォトクロミズム / ノルボルナジエン / クアドリシクラン / 光触媒 / 異性化反応 / フリップ・フロップ |
Research Abstract |
光触媒などを用いた光誘起電子移動反応を界面プロセスに適応させ、新規な機能をもつ反応系の設計・開発を行うことを目標とし、カウンター部位をもち繰り返し回数が記録されるフォトクロミズムや、パルス光照射により、一回ごとにOn-Offを繰り返すflip-flop型フォトクロミズムなどの新規な可逆反応系構築、また、導電性等の物性制御を可能と機能性光化学反応の設計・開発について検討を行った。カウンターをもつフォトクロミズムとして、ノルボルナジエンの光環化により生成する高歪み化合物クアドリシクランが、一電子酸化によりラジカルカチオン中間体を経てノルボルナジエンへと開環する際の酸化電位の増幅を利用し、両者の酸化電位の間の電位で酸化され結合開裂を起こす基質を組み合わせ、炭素ファイバー電極を用いた電解反応により、基質が酸化されないはずの低い電位で酸化されるような間接酸化反応を試みた。ある組み合わせにおいて酸化電位の増幅による反応の進行を見出したことから、こうした分子内に酸化分解される基質を複数カウンター部位として組み合わせたクアドリシクラン誘導体を数種類合成し、2つのエステル基が置換したクアドリシクランと、生成するノルボルナジエンにより酸化を受け結合開裂を起こす基質1-フェニルー2,2-ジメチルプロパノールを組み合わせた誘導体の電解酸化において、低収率ながら、一方のカウンター部位のみが開裂した生成物が単離された。現在、収率を向上させるための反応条件や基質の最適化について検討中である。また、flip-flop型フォトクロミズムに関しては、種々の置換基をもつ置換ノルボルナジエン・クアドリシクランカルボン酸の酸性度について検討し、また、水相-油相への分配率を調べ、エステル基で最も大きなpK_a値の差が見られ、また、有機溶媒への溶解度が分配率に大きな影響を及ぼすことを見出した。現在、油相での光増感反応を効率よく行うための反応系について検討中である。
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