Research Abstract |
大容量MRAMの実現のため,巨大TMR素子の開発を目指している.そのために,フルホイスラー合金薄膜を電極とする強磁性トンネル接合(MTJ)を作製し,その磁気抵抗比について研究を,また,微細素子作製のための微細加工プロセス技術の確立を目指して研究を行った. まず,MBE装置を用いて,Co_2Cr_<1-x>Fe_xAl(0<x<1)ホイスラー合金薄膜をGaAs基板上に作製した.全ての組成においてL2_1構造が得られ,X=0では,A2相を含む多結晶であった.X>0.4ではエピタキシャル成長し,特に,X=1の場合,ほぼL2_1単相であった.このエピタキシャル電極を有するMTJのTMR比は最大で約8.8%が得られた. 次に,スパッタ装置を用いてCo_2FeAlホイスラー合金薄膜を作製した.成膜条件によりA2構造もしくはB2構造となることが分かった.これらの構造をもつ薄膜電極を有するMTJを作製した.得られた最大のTMR比(室温)は,電極がA2構造の場合47%,B2構造の場台28%であった.これらの結果は微細加工を行った場合の結果であり,メタルマスクを用いて作製した場合,A2構造のそれは高々13%であった. 最後に素子の微細化技術の確立のため,素子幅100nmのナノピラーの作製を試みた.微細加工条件の最適化を行った結果,設計サイズ100×300,100×200,100×100nm^2に対し,SEM観察の結果,実際の素子サイズは,90×290,90×190,90×90nm^2のピラーが作製できた.この時,角の部分は丸味を帯びることが分かった.
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