2005 Fiscal Year Annual Research Report
不揮発性磁気メモリ(MRAM)の高速・大容量化に関する研究
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14076202
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
猪俣 浩一郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90323071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
手束 展規 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40323076)
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Keywords | スピン共鳴トンネル効果 / 二重トンネル接合 / エピタキシャル / コンダクタンス振動 / スピン依存量子準位 / ホイスラー合金 / トンネル接合 / トンネル磁気抵抗 |
Research Abstract |
スピン共鳴トンネル効果素子の創製、およびCo基フルホイスラー合金を用いた強磁性トンネル接合(MTJ)のTMR特性向上について研究した。前者は二つのMgOバリアを用いたエピタキシャル強磁性二重トンネル接合をMBEを用いて作製し、バリアに挟まれたFe強磁性層の厚さを変えた。その結果、Fe層の設計膜厚1.0〜1.5nmのとき微分コンダクタンスがバイアス電圧によって振動することを初めて観測した。このときの振動周期はFe膜厚の減少とともに長くなった。また、この振動は室温でも観測できるが、温度の上昇とともに振幅は弱くなった。これらの現象はFe中間層にΔ_1バンドからなる量子準位が形成されたとして説明することができる。尚、TMRはコヒーレントトンネルを反映して室温で100%を越える大きな値を示し、TMRのバイアス電圧依存性は一重トンネル接合のそれより優れている。後者はいわゆるハーフメタルの開発に関係している。これまで主としてCo_2(Fe_xCr_<1-x>)Al(CCFA)ホイスラー合金を用いたMTJについて調べてきた。その結果、x=0.6を境にそれ以下ではB2とA2構造が共存すること、それ以上ではB2単相が得られることが明確になり、いずれの組成域でもL2_1構造は得られないことが判明した。結果としてTMRはx=0.6で最大となり、低温で83%、室温で54%である。巨大TMRを得るためにはやはりL2_1構造は避け難く、そのため組成系をCo_2FeSiに移しCo_2Fe(Al_ySi_<1-y>)に研究をシフトさせた。その結果、Co_2FeSi膜ではL2_1構造が得られることが判明した。しかし、Coアンチサイトの存在が判明し、室温TMRは40%程度に留まっている。Alで置換するとL2_1構造は得にくくなるもののTMRが増大し、現在のところx=0.5で最大60%のTMRが室温で得られている。このときの構造はB2である。今後、組成を調整することで適当なy値においてL2_1構造、引いてはより大きなTMRが得られるものと考えている。
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Research Products
(6 results)