Research Abstract |
走査型プローブ技術およびその関連技術を用いて半導体と磁性体から構成されるナノ構造の形成,それによる新物性・新機能の創出,半導体表面上に形成されるナノ構造の形成過程の解明,ナノ構造形成制御技術の開発を目指して研究を進めた.本年度は以下の成果を得た. 最近,GaAs(100)表面の低温層の再構成表面として知られるc(4x4)構造が,As_2フラックス下では,As-Asダイマーから構成されるβ構造とGa-Asヘテロダイマーから構成されるα構造の2種類の異なる構造観測されるとの報告がなされた.As単体を原料として安定な表面再構成構造を調べた結果,2時間程度の遅い緩和時間で400℃を転移温度として2つの構造間で相互に構造変化が起こることを見いだした.次いで,閃亜鉛鉱型構造を有するMnAsの形成を目指して,制御して作製した2種類のc(4x4)構造上のMnAsの初期成長過程を調べた.その結果,α構造上では,約0.5MLまでは,ダイマー中のAsがMnに置換されることによりGaMnAs層が形成され,第2層目からは,NiAs型構造に移行することを見いだした.一方,β構造上では,周期性の良い表面は得られなかった. これまでGaMnAsを磁性層とするトンネル接合のトンネルスペクトルを通して,GaMnAsの電子状態の解明を進めてきたが,今年度は,その磁化反転過程の解明から,2層の磁性層の磁化が,90°の状態の存在のため,反平行磁化状態の実現が困難であることを見いだした.そこで,その抑制のため,サブミクロンサイズのメサ構造の形成を試み,単磁区試料の作製に成功した.また2重障壁トンネル磁気抵抗構造が,電流注入磁化反転の実現に有利なことに着目して,単磁区構造をとるサブミクロンサイズのMESA構造試料を作製したところ,従来の報告と比べ約1桁低い閾値電流密度3×10^4A/cm^2におけるスピン偏極電流に起因した磁化反転を観測した.
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