2005 Fiscal Year Annual Research Report
光-スピントロニクスデバイス及びナノスピンプローブのデザイン
Project/Area Number |
14076214
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
白井 正文 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (70221306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 良雄 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (10361198)
長尾 和多加 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (00361197)
吉田 博 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (30133929)
佐藤 和則 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (60379097)
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Keywords | スピントロニクス / マテリアルデザイン / 第一原理計算 / 希薄磁性半導体 / 強磁性転移温度 / 相分離 / 自己相互作用補正 / 格子欠陥 |
Research Abstract |
光スピントロニクス材料として期待されているワイドバンドギャップ磁性半導体中の磁性不純物間には引力的な相互作用がはたらき、顕著な濃度の不均一分布を形成することを理論計算により明らかにした。平均不純物濃度が比較的低い場合、互いに磁気的に結合していない比較的小さな高不純物濃度クラスタが沢山形成され、強磁性転移温度は相分離により低くなる。一方、平均不純物濃度がある程度高くなると、高不純物濃度の領域が互いに連結した複雑な構造をとり、これにより磁気的相互作用のネットワークも形成されるため、強磁性転移温度は高くなる。また、分子線エピタキシのように原子を一層ずつ積層していく結晶成長過程を考慮すると、結晶成長方向に伸びた葉巻型の形状をもつ高不純物濃度クラスタが形成されることが確かめられた。 ワイドバンドギャップ磁性半導体における磁性原子の3d電子状態は比較的局在性が強いため、電子相関の効果を適切に考慮した電子状態の計算が必要である。そこで、酸化亜鉛に磁性不純物をドープした系に対して自己相互作用を補正した電子状態計算を行った。得られた状態密度は局所スピン密度近似で得られたものとは異なり、エネルギーギャップ中に現れる不純物バンドの占有状態と非占有状態が大きくエネルギー分裂し、フェルミ準位での状態密度は減少した。この結果は光電子分光実験とよく一致している。 ワイドバンドギャップ強磁性半導体において格子欠陥が磁気相互作用に及ぼす影響を第一原理計算に基づいて検証した。窒化ガリウムにドープされた磁性原子はガリウム原子位置を置換し易いが、窒素空孔が存在すると磁性スピン間の強磁性相互作用が弱められる。高い強磁性転移温度を得るためには、十分な窒素原子供給量を確保して窒素空孔の生成を抑制する必要がある。
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