2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14076217
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
竹内 淳 早稲田大学, 理工学部, 教授 (80298140)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 剛正 早稲田大学, 理工学部, 助手 (00339699)
|
Keywords | 量子ドット / スピン / InGaAs / 量子井戸 / GaN / Elliott-Yafet / Dyakonov-Perel / スピン緩和 |
Research Abstract |
本研究では、InGaAs量子井戸やInAs量子ドットを代表的な材料とする非磁性の化合物半導体のキャリアスピンのダイナミクスとその制御性を調べる。実験的には、時間分解フォトルミネッセンス法と時間分解吸収測定法を用いてピコ秒からフェムト秒領域のスピンダイナミクスを解明する。スピン緩和過程は従来のエレクトロニクスの主要な高速限界であったRC時定数に束縛されないという利点があり、また、量子ドット中のスピンを用いた量子コンピューティングは従来の情報処理技術を大幅に越える計算能力を秘めている。今年度は、まず波長1.55mに対応するInGaAs量子井戸と青紫光の0.4mに対応するGaN系材料のスピンダイナミクスを測定するための基礎的な検討を行なった。その結果、GaN系材料の従来の計測では、重い正孔と軽い正孔の準位がエネルギー的に混じっている可能性が高いことから、実験技術的には、光パルスのスペクトル幅を狭める必要があることがわかった。また、エピ上で空間的に組成ゆらぎがあるとするとスピン偏極の生成は原理的に困難になるので、来年度は、Inを含まないGaNでスピン偏極の観測を行える測定系の構築を進めることになった。InGaAs/InP量子井戸の研究では、GaAs系材料に比べてバンドギャップの大きさが半分であることから、価電子帯と伝導帯のバンドミキシングが大きくなりElliott-Yafet効果が大きくなることがわかっている。GaAs量子井戸で支配的であったDyakonov-Perel効果の寄与も大きいと考えられる。そこで、来年度は、スピン緩和時間のキャリア濃度依存性や温度依存性の測定を行い、スピン緩和のメカニズムを解明を進めることになった。今年度の主たる実験研究であるInAs量子ドット中の電子の緩和過程の研究においては、準位の量子化により、フォノンボトルネック現象が存在することが時間分解測定によって明らかになった。
|
Research Products
(1 results)