2003 Fiscal Year Annual Research Report
半導体・金属グラニュラー構造の非線形磁気伝導現象の解明とデバイス応用
Project/Area Number |
14076219
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
秋永 広幸 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノテクノロジー研究部門, 主任研究員 (90221712)
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Keywords | 磁気抵抗効果 / 磁気抵抗スイッチ効果 / 半導体 / 金属 / ハイブリッド構造 / 非線形磁気伝導 |
Research Abstract |
我々の研究グループでは、2000年に半導体・金属ハイブリッドグラニュラー構造において、室温、大気中の条件でも、数千%に及ぶ大きな磁気抵抗効果が観測されることを発見し、その現象を磁気抵抗スイッチ効果と名付けた。その後の研究によって、磁気抵抗効果の大きさは百万%を超える値にまで達成し、抵抗効果と言うよりは、磁場による金属-絶縁体転移ともとらえられるようになった。現在のところ、室温における磁気抵抗効果の大きさとしては最大の値である。 半導体・金属ハイブリッド構造で観測される磁気抵抗スイッチ効果は、その非線形な電流-電圧特性が、磁場によって線形性を取り戻す効果であると見なすことが出来る。この非線形性の起源を明らかにするために、平成14年度は、ハイブリッド構造をなるべく単純な構造にする、つまり磁気抵抗スイッチ効果の発現に必要な構造条件を明らかにすることを試みた。その結果、半絶縁性GaAs表面に金の電極からなるナノメートルスケールのギャップを作製した構造において、磁気抵抗スイッチ効果を観測することに成功した。平成15年度は、第1にこのギャップ構造を作製するプロセスを再検討し、GaAs表面を系統的に変化させることが出来るようになることを目指した。これは、本プロジェクトの最終目標である非線形磁気伝導現象を解明するためにはGaAs表面の電子状態制御が重要であると考えたからである。また、本効果のデバイス応用を図るには、磁気抵抗スイッチ効果をより再現性良く発現する安定したし素子を効率的に形成するためのプロセス開発が重要なことによる。この結果、ウエットプロセスで、磁気抵抗スイッチ効果を示す素子を作製することに成功した。第2番目には、デバイスの磁気抵抗特性の向上を目指した。その結果、ドライプロセスで作製した素子とほぼ同様な性能にまでデバイスパフォーマンスを向上させることに成功した。
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