2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14077202
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
畑中 耕治 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90312545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福村 裕史 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50208980)
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Keywords | パルスX線発生 / 水溶液 / フェムト秒レーザー / 偏光 / 溶媒和電子 / 濃度効果 / 過酸化水素 / 時間分解測定 |
Research Abstract |
X線発光強度の円偏光励起ならびに水溶液への添加物に対する依存性を明らかにし、パルス幅内における高強度レーザーと水溶液との根互作用に関して議論した。またダブルパルス励起によるX線発光強度の増加に対して溶媒和電子生成の観点から、過酸化水素添加の影響を明らかにした。 円偏光励起では、p偏光成分からs偏光成分を増加させて行くに従いX線発光強度が減少した。またある楕円率の円偏光のうちp偏光のみを用いた場合、光強度がより高い円偏光の場合と比べてX線発光強度が増加した。両者でX線発光スペクトル測定を行いスペクトルの傾きから電子温度を求めたところ、p偏光励起の場合がより高くなった。共鳴吸収は起こりにくい実験条件であることから、初期の多光子イオン化、2次電子放出といった過程に対して、s偏光成分が抑制的にはたらいていると推測される。 ダブルパルス励起によるX線発生では、これまでに遅延時間8nsまでに4つのピークが観測されていた。また8ns以降もX線発光強度が増加し続けており、その原因に関しては不明であった。これに対し、プレパルス照射によって生成した溶媒和電子が関与しているのではないかと考え、試料に蒸留水ならびに過酸化水素水を用いて実験を行った。その結果、8ns以降では過酸化水素水でX線発光強度が減少した。また遅延時間を15nsとしたとき、X線発光強度が過酸化水素濃度が増加するに従い減少した。過酸化水素は溶媒和電子と反応して失活させると考えられることから、8ns以降におけるX線発光強度の増加は溶媒和電子によるメインパルスの吸収が関連していると結論した。
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