2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14077205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山内 薫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40182597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐甲 徳栄 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (60361565)
板倉 隆二 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80334241)
星名 賢之助 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (60292827)
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Keywords | 強レーザー場誘起反応 / クラスター反応 / チャープレーザーパルス / コインシデンス運動量画像法 / ピコ秒電子線回折法 / 水素移動過程 / 解離性イオン化反応 / タンデム型飛行時間質量選別法 |
Research Abstract |
本計画研究の成果は、以下の5点にまとめられる。 1)ピコ秒パルス電子線回折法による強レーザー場中CS_2の実時間構造変形追跡 10ps程度のパルス幅をもつ電子線パルスを用いて、ナノ秒非共鳴強レーザー場中におけるCS_2の変角構造の時間変化を、発生させた電子線パルスの回折像から得る事ができた。同時に、マクロ電子モデルを用いた電子波束のモデル計算により、25kVで加速する場合、電子数を〜10^3個程度にすれば、電子線のパルス幅として700fsを達成できる事が予測された。 2)チャープ強レーザー場中エタノールの解離性イオン化反応 強レーザー場中のエタノール分子は、パルス波形のチャープ率の変化に依存して、反応の分岐比が鋭敏に変わる事が示された。これは、「強レーザー場によって生成するドレストポテンシャル曲面がどれだけ長く維持されるか」によって決まるものと考えられた。 3)アニリン・アンモニアクラスターカチオンの強レーザー場誘起反応 アニリンカチオンにアンモニアの付着した水素結合クラスターの強レーザー場誘起反応のサイズ依存性を明らかにした。アニリンカチオンに付着するアンモニアの数が4つまで増えると、新しい反応経路が開かれることが明らかとなった。量子化学計算によって親イオン、生成物イオンクラスターの構造が推定され、どのように反応が起こるかが議論された。 4)コインシデンス画像法による強光子場アセトニトリルの水素移動過程の追跡 強光子場中におけるCH_3CNのクーロン爆発過程を、コインシデンス画像法を用いて観測した。2体解離経路には、CH_3CN^<2+>→CH_<3-n>+H_nCN(n=0-2)水素移動チャンネルが存在し、移動する水素の数が増えるほど、CH_3CN^<2+>の寿命が長くなり、同時にC-C-N骨格の変革構造変形が誘起される事がわかった。 5)デバイ遮蔽モデルに基づくレーザープラズマ中・多電子原子・分子の電子状態 レーザープラズマ中における原子の電子構造を解明するために、デバイ遮蔽理論に基づくHe(閉殻)およびLi(開殻)の電子状態計算を行い、レーザープラズマ中において、原子が特異な殻構造を持ち得ることが明らかとなった。
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[Publications] R.Itakura, T.Asano, K.Yamanouchi: "Suppression of decomposition of aniline cation in intense laser fields by cluster formation with NH_3 and H_2O"Journal of Photochemistry and Photobiology A. 158. 77-81 (2003)
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[Publications] K.Hoshina, K.Yamanouchi, T.Ohshima, Y.Ose, H.Todokoro: "Alignment of CS_2 in intense nano-second laser fields probed by pulsed gas electron diffraction"The Journal of Chemical Physics. 118. 6211-6221 (2003)
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[Publications] T.Amano, T.Sako, K.Hoshina, K.Yamanouchi: "New vibrational force-field expansion of coupled linear benders : application to the X state of acetylene"Chemical Physics Letters. 375. 576-582 (2003)
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[Publications] R.Itakura, K.Yamanouchi, T.Tanabe, T.Okamoto, F.Kannari: "Dissociative ionization of ethanol in chirped intense laser fields"The Journal of Chemical Physics. 119. 4179-4186 (2003)
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[Publications] A.Hishikawa, H.Hasegawa, K.Yamanouchi: "Hydrogen migration in acetonitrile in intense laser fields studied by coincidence momentum imaging"Physica Scripta. (in press). (2004)
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[Publications] A.Hishikawa, H.Hasegawa, K.Yamanouchi: "Nuclear, dynamics on the light-dressed potential energy surface of CS_2 by coincidence momentum imaging"Chemical Physics Letters. (in press). (2004)