2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14077207
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
染田 清彦 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (20206692)
|
Keywords | 強レーザー場 / 光誘起状態 |
Research Abstract |
1.有限の深さを持つ1次元井戸に束縛された電子に光子場を印加したモデル系の解析を行った.光子場の振動数と強度の組み合わせを広範囲にわたって変化させ,光誘起状態の生成条件および性質を解析した. (A)Floquetの定式化と複素座標法を融合した方法(複素座標Floquet法)を適用し,特にレーザ振動数が低い場合について光誘起状態の存否を詳細に調べた.その結果(ア)光誘起状態は束縛状態の影極に由来する.(イ)1光子イオン化閾値の直上が光誘起状態発隼のための好条件である.という結論を得た. (B)レーザー場中の電子散乱に対する,近似のない厳密な,緊密結合計算を行ない,上記項目(A)の計算結果の正当性を証明するとともに,より詳細な複素エネルギー面の解析を行なった.光誘起状態の数理的起源は,ポテンシャル井戸の形状に依存して,束縛状態の影極または反束縛状態の極であることがわかった. 2.強レーザー場中の二原子分子の電子状態に関する計算を実行した.クラマース=ヘンネバーガー高振動数近似の下で,He二原子分子の計算を行なった.非経験的分子軌道法の計算機コードを改変し,高振動数極限の強レーザー場中の分子軌道計算ができるようにした.計算の結果,強レーザー場中で二つのHe原子の間に化学結合(共有結合)が生じることを見出した.すなわち,光誘起準安定分子の形成である.この「光誘起化学結合」は,強レーザー場中で原子オービタルが変形し,混成オービタルを形成すること,またそれが,「光で歪められた分子軌道」を形成することで説明できる. 3.量子欠損理論を拡張し,二原子分子COの強光子傷中の光電子スペクトルについて検討した.特に自動イオン化リュードベリ状態がもたらす特徴的なスペクトル形状について調べた.
|
Research Products
(1 results)