2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14077214
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中島 信昭 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00106163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八ッ橋 知幸 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (70305613)
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Keywords | 強光子場 / フェムト秒 / イオン化 / クローン爆発 / ハロゲン化メタン / ヘキサフルオロベンゼン / 光電子スペクトル |
Research Abstract |
強光子場による有機分子のイオン化では親イオン/フラグメント化を光電子スペクトルから判別できることを実験で示し、イオン化機構議論した。高強度フェムト秒レーザーで有機分子をイオン化させると、親イオンが観測されることがある。当グループでは親イオンが観測される条件の一つとして、「励起波長に親イオンが吸収が重ならない」ことを報告した。しかし例外の分子が見つかり、この議論を深めるため、有機化合物で量も単純な構造を持つ分子の一つであるメタン、ハロゲン化メタンについて調べた。 光電子スペクトルから、イオンの基底状態からレーザーの波長800nmの1光子分のエネルギー1.55eV足したところにイオンの励起準位が存在するならば親イオンは解離するパスが生じると考えられ、また、イオンの基底状態が解離ポテンシャル型であれば、フラグメント化すると予想される。測定した全てのメタン、ハロゲン化メタンで上記のように解釈できることを示すことができた。 次に100%イオン化が起こるとされるレーザー強度であるI_<sat>をそれぞれの分子で見積もった。有機化合物のI_<sat>は貴ガスのそれの延長で説明できることが示された。 ヘキサフルオロベンゼンのクーロン爆発を実験、および、分子ダイナミクスシミュレーションで調べた。クーロン爆発では、フッ素イオンはレーザー偏光と水平方向に放出され、炭素イオンはレーザー偏光と角度を持って放出された。これを5および、4置換フルオロベンゼンと比較すると、フッ素の置換基の数が減ると、炭素の偏光依存性が少なくなることを見出した。 次に、モレキュラーダイナミクスシミュレーションを行った。計算結果では、イオンの運動エネルギーの偏光依存性が実験を定性的に再現できた。また、爆発のダイナミクスにおいて、フッ素は重いため、炭素の動きを阻害し、その結果炭素は角度をもって放出されることが分かった。分子のクーロン爆発において、重い元素が、軽い元素の動きを阻害するという、新しい解釈を示した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Harada, S.Shimizu, T.Yatsuhashi, S.Sakabe, N.Nakashima: "A Key Factor in Parent and Fragment Ion Formation on Irradiation with an Intense Femtosecond Laser Pulse"Chem. Phys. Lett.. 342(5-6). 563-570 (2001)
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[Publications] Y.Hosoi, T.Yatsuhashi, N.Nakashima: "Xylylene Formation from Vibrationally Hot Cyclophancs : Specific Dissociation Rate Constants of Strained Molecules"J. Phys. Chem. A. 106(10). 2014-2019 (2002)
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[Publications] S.Shimizu, S.Sakabe, T.Yatsuhashi, N.Nakashima: "Coulomb explosion of benzene induced by an intense laser field"J. Chem. Phys.. 117(7). 3180-3189 (2002)