2004 Fiscal Year Annual Research Report
非線形・非平衡領域におけるドレスト状態に関する理論的研究
Project/Area Number |
14077219
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田崎 秀一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10260150)
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Keywords | デコヒーレンス制御 / 射影演算子の方法 / 全てのオーダーを超える漸近法 / ハーパー写像 / C^*代数 / 非平衡定常状態 |
Research Abstract |
1.有限準位系の熱的デコヒーレンスの制御の研究:量子Bang-bang制御、量子ゼノン制御および強外場による制御を検討し、制御周波数が無限大の理想的極限では良いパフォーマンスを示すが、制御周波数が有限の場合には、反ゼノン効果と同様のメカニズムで、デコヒーレンスが増長されることが見出された。つまり、制御が不十分な場合のデコヒーレンスの悪化は一般的な傾向である。さらに、初期相関が存在する場合を詳細に検討し、従来の射影演算子の方法に不備があることを明らかにし、環境系が混合的な場合に不備を除去できることを示した。 2,古典カオス系の諸性質の研究:カオス研究では数値的手段がよく用いられるが、大域的振舞いを理解するには解析解が有用である。近年、通常の摂動計算では対処できないカオス項が、"全てのオーダーを越える漸近法"により抽出できることが示されてきた。本研究では、同法の精度を系統的に改良する方法を開発し、保存的ハーパー写像に用いて、不変多様体のつなぎ換えに伴う多様体の激しい振動項を捉えるのに成功した。また、パイこね変換を例にブラッセル・スクールの二つの不可逆性の理論を比べ、共通の数学的構造があることを明らかにした。 3.無限量子系の非平衡統計状態の研究:原子・分子系でよく知られているファノ共鳴はメゾ的導体でも観測されている。このような系においてファノ共鳴における非平衡効果を調べ、磁場による伝導率の振動(Ahoronov-Bohm振動)のパターンがバイアス電圧に強く依存することなどを示した。また、無限に拡がるボーズ粒子浴がトンネル接合でつながる系において、粒子浴にボーズ・アインシュタイン凝縮が存在する場合の非平衡定常状態を厳密に調べ、Josephson粒子流が生じることを示した。さらに同系にStocahstic極限を適用し、その結果とC^*代数による結果を比較し、前者の有用性を示した。
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Research Products
(6 results)