2003 Fiscal Year Annual Research Report
高速拡散過程とトンネルイオン化過程の非線形ダイナミクス
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14077220
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
池田 研介 立命館大学, 理工学部, 教授 (40151287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 晋 ATR適応コミュニケーション研究所, 研究員
中田 俊隆 立命館大学, 理工学部, 助教授 (20237308)
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Keywords | クラスター / トンネルイオン化 / 力学系理論 / 半古典論 / 分子動力学 / 合金化 / 拡散過程 / 多次元トンネル効果 |
Research Abstract |
高速拡散過程の研究:本年度は二体力が金属クラスターの結合記述に適さないという批判を受けて、tight-binding近似に基づく多体モデルを提案しそれを用いたsimulationを行い、2体ポテンシャルの結果をほぼ再現する事を確認した。高速拡散の素過程の詳細を解析し支配的な反応経路が存在するか否か特定する為に活性化過程の高精度解析を実行すべく時間平均温度が高度に制御可能なアルゴリズム<平均温度制御アルゴリズム>を開発したがその安定性が懸案の問題であった。安定性問題を数学的に解析してthermostatの諸パラメータが満足すべき安定性条件を解析的に解明した。この方法から拡散過程の活性化過程が解明され、反応経路の計算と、実際の動的過程で起こる特徴的な運動を抽出、比較して支配過程と考えられる集団運動の一部を明らかにした。この問題と並行して、最近立命大のグループによって実験が行われたアルカリハライドクラスター系の高速混晶化現象のsimulationも開始した。 トンネルイオン化過程の研究:単純で且つトンネル効果をモデル化できる系としてHenon系をトンネルイオン化の基礎モデルに据えトンネルイオン化過程をいわゆる回転領域が存在する場合のカオストンネル効果として解明する作業を進展させた。結果はカオス領域に存在する不安定周期軌道の複素安定-不安定多様体がトンネルイオン化に決定的役割りを果たす事を強く示唆しており、従来のトンネル理論とまったく異なる見地から理論が打ち立てられる事が大いに期待できる。一方、連続時間系のモデルである周期的摂動を受ける障壁トンネル問題の準断熱領域理論がほぼ完成し、ここでも不安定周期軌道の複素安定-不安定多様体の決定的役割りが解明された。このモデルの特徴は稠密にサドルが分布しないため解析が比較的簡単になり、場合によっては臨界点、安定-不安定多様体と初期値集合の関係等が解析計算によって詳細に研究できる点にある。他方、カオストンネル問題に関連して幾何光学極限でカオス的挙動を示すマイクロディスクキャビティでの発振問題の研究も推進してきたが波動カオス状態(「量子カオス波動関数」)がほぼ単一モードで安定発振する事が初めて理論的に確認された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] S.Sawada, Y.Shimizu, K.S.Ikeda: "Molecular-dynamics simulation of rapid alloying of clusters using many-body potential"Phys.Rev.B. 67. 024204-1-024204-13 (2003)
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[Publications] T.R.Kobayashi, K.S.Ikeda, Y.Shimizu, S.Sawada: "Averaged Kinetic Temperature Controlling Algorithm : Application to Spontaneous Alloying in Microclusters"J.Chem.Phys.. 118. 6552-6561 (2003)
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[Publications] K.Takahashi, K.S.Ikeda: "Complex-classical mechanism of tunneling process in strongly coupled 1.5 dimensional barrier systems"J.Phys.A. 36. 7953-7987 (2003)
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[Publications] T.Harayama, P.Davis, K.S.Ikeda: "Stable oscillations of a chaotic wave-function in a micro-stadium laser"Phys.Rev.Letters. 90. 063901-1-063901-4 (2003)
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[Publications] T.Harayama, T.Fukushima, S.Sunada, K.S.Ikeda: "Asymetric stationary lasing patterns in 2D symetric microcavities"Phys.Rev.Letters. 91. 073903-1-073903-4 (2003)