2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14078205
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
細見 彰 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (00004440)
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Keywords | ジメチルシリルエノラート / 立体選択的合成 / アルドール反応 / Mannich型反応 / エナンチオ選択性 / タンデム反応 / α-ジメチルシリルエステル / 不斉還元反応 |
Research Abstract |
本研究課題で今年度に得られた成果を以下に示す。 1.ビナフトール及びその誘導体のリチウム塩を触媒に用いるイミン類の不斉還元反応 光学活性なアミンは多様な生物活性を示すアルカロイド等の含窒素天然有機化合物の合成中間体として有用である。当研究室では最近トリメトキシシラン存在下、触媒量のリチウムアルコキシドによりイミン類の還元反応が進行することを見つけた。触媒に光学活性なアルコール及びその誘導体の金属塩を用いてイミン類の不斉還元反応について検討し、THF溶媒中、(S)-(+)-1,1'-ビ-2-ナフトールにブチルリチウムを加えてリチウムアルコキシドを調製し、トリメトキシシラン存在下、イミンを還元したところ、良好なエナンチオ選択性でアミンを得ることができた。ビナフトールの3,3'位にメチル基を有する配位子では選択性は低下したが、フェニル基で置換した配位子では得られるアミンの絶対配置が逆転し、室温ではこれまでで最高の選択性が得られた。 2.金属塩化物を促進剤とするカルボニル化合物に対するα-ジメチルシリルエステルの求核付加反応 塩化カルシウムがLewis塩基触媒としてジメチルシリル(DMS)エノラートのアルドール反応を促進することを見つけ、α-DMSエステルのカルボニル化合物に対する求核付加反応も、金属塩化物によって加速されることが明らかになった。触媒量の塩化リチウムの存在下、酢酸エチルから誘導したα-DMSエステルとベンズアルデヒドをDMF中、30℃で反応させると、アルドール付加体が定量的に得られた。アルデヒドとして脂肪族アルデヒドを用いた場合にも反応は効率良く進行した。α-DMSエステルとアセトフェノンとの反応では、促進剤として塩化マグネシウムを用いることで収率よくアルドール付加体が得られた。シクロヘキサノンに対するアルドール反応も、塩化マグネシウムによって著しく促進されることがわかった。 3.シリル基のβ効果を利用した環状エーテル類の立体選択的合成 α位にアルキル基、β位にヒドロキシアルキル基を有するビニルシランが、酸触媒によりシリル基の1,2-転位を伴いながら環化することを見つけ、多置換テトラヒドロフランやテトラヒドロピラン類の立体選択的合成に応用した。酸触媒存在下、β位にアセトキシ基を有するアルキルシランが分子内の水酸基と反応して、シリル基の1,2-転位を伴いながら環化することを見つけ、この反応を利用した環状エーテル類の立体選択的合成について検討した。
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Research Products
(8 results)