2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14078208
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
小宮 三四郎 東京農工大学, 工学部, 教授 (00111667)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小峰 伸之 東京農工大学, 工学部, 助手 (90302918)
平野 雅文 東京農工大学, 工学部, 助教授 (70251585)
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Keywords | ヘテロ遷移金属錯体 / 異種金属間協同効果 / チエタン / 酸化的付加 / カルボニル化 / 白金 / コバルト |
Research Abstract |
本研究では、ヘテロ金属間結合を有する遷移金属錯体において、異種金属間コミュニケーションに基づいた協同効果について、その電子的効果や配位子の動的制御に基づいた分子レベルでの研究によりその支配因子を解明し、均一系ヘテロ遷移金属錯体を用いた単一金属錯体では実現しえない選択的結合切断や炭素-炭素結合形成反応の実現と触媒的精密分子変換への応用を目的とした。 本年度は、ヘテロ遷移金属錯体を用いたチエタン類の触媒的分子変換反応の開発を指向して研究を行った。まず白金と種々の異種金属からなるヘテロ遷移金属錯体の錯体レベルでのチエタン類との反応性を明らかした。その結果、白金とマンガン、鉄もしくはモリブデンからなるヘテロ遷移金属錯体とチエタン類と反応では、白金と異種金属間に挿入し、白金に硫黄で結合した錯体が生成するのに対して、白金-コバルトヘテロ遷移金属錯体とチエタン類と反応では、チエタンが硫黄で配位したイオン性の錯体が生成することが明らかとなった。また、触媒量の白金-コバルトヘテロ遷移金属錯体存在下、チエタンと一酸化炭素との反応を行ったところ、チエタンの炭素-硫黄結合間に一酸化炭素が挿入したγ-チオラクトンが定量的に得られることも明らかにした。白金と種々の異種金属からなる種々のヘテロ遷移金属錯体の中で、白金-コバルトヘテロ遷移金属錯体のみが、高い触媒反応活性を示したことから、本触媒反応は白金とコバルトの異種金属間に働く協同効果に基づくものと考えられる。 また、初年度である本年度は、異種金属間結合を有するヘテロ二核錯体の普遍的な合成法として、従来用いてきたメタセシス反応に代わる合成法として、10族低原子価遷移金属錯体への有機金属錯体への酸化的付加によるヘテロ遷移金属錯体の合成を行った。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] S.Komiya, et al.: "Synthesis of and Stereospecific Hydride Migration in Cationic (Tricyclicarene) (cyclooctadiene)ruthenium(II) Comolexes"Organometallics. 21(26). 5738-5745 (2002)
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[Publications] S.Komiya, et al.: "Synthesis and β-Hydrogen Elimination of Water-soluble Dialkylplatinum(II) Complexes in Water"Bull.Chem.Soc.Jpn.. 76. 183-188 (2002)
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[Publications] S.Komiya, et al.: "Bond Activation by Low-valent Ruthenium Complexes"J.Chem.Soc. Dalton Trans.. 1439-1453 (2003)
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[Publications] S.Komiya, et al.: "Ligand Displacement Reaction of Ru(η^4-1,5-COD)(η^6-1,3,5-COT)"Organometallics. (in press).
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[Publications] S.Komiya, et al.: "Regioselective C-H or N-H bond Cleavage Reactions of Heterocyclic Compounds by [Ru(1,5-COD)(1,3,5-COT)]/Monodentate Phosphine"Inorg.Chim.Acta. (in press).
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[Publications] S.Komiya, et al.: "Activation of Substrates with Polar Single Bonds"Fundamental of Molecular Catalysis. (in press).