2005 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッド超臨界流体中における実践的触媒反応の開拓
Project/Area Number |
14078209
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
碇屋 隆雄 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (30107552)
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Keywords | 不斉触媒反応 / 精密合成化学 / 触媒・化学プロセス / 二酸化炭素排出削減 / 超臨界流体化学 |
Research Abstract |
1 酸塩基複合効果を有する多機能キラルルテニウム触媒が1,3-ジカルボニル化合物と環状ニトロアルケン類とのマイケル反応の触媒として有効であることを見いだした。反応初期に速度論的に優先して生成するシス1,4-付加体が反応中に同じ触媒によってトランス体にエピメリ化することが分かった。本触媒が塩基触媒としてマイケル反応およびニトロアルケン類のエピメリ化を促進している。さらに本多機能触媒系はジアゾジカルボン酸エステルとシアノカルボン酸エステルとの1,4-付加反応の触媒としても有効であり、効率よく対応する付加物を高い光学純度で与えること、この反応ではルテニウムに変わって等電子構造を有するイリジウム錯体が最適であることなどを見いだした。多機能分子触媒が炭素-水素、炭素-炭素結合だけでなく炭素-窒素結合形成においても実用的不斉触媒となることが実証できた。 2 キラルアミノホスフィン(P-N)配位子を有する多機能ルテニウム触媒が環状イミド化合物のエナンチオ選択的水素化の触媒として有効であり、対応するキラルアミドアルコール類を最高99% eeで与えることを見いだした。特にグルタルイミド類から得られるキラルアミドアルコールは医薬品のパロキセチンの合成原料として有用であり、本触媒系が実用性にも優れていることが実証された。 3 超臨界二酸化炭素中において白金/炭素固体触媒がクロロニトロベンゼン類のニトロ基選択的な水素化反応を加速化することを見いだした。超臨界二酸化炭素と水素および反応基質が均一相を形成することによる反応加速効果と二酸化炭素の水素化によって生成する一酸化炭素による脱ハロゲン化抑制による選択性向上が成功の要因と考えられる。超臨界二酸化炭素が反応選択性制御の反応場として有望であり、新たな超臨界流体の利用法として興味深い結果である。
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Research Products
(7 results)