2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14078212
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北村 雅人 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 教授 (50169885)
|
Keywords | 二官能性触媒 / 分子触媒反応 / アリルエーテル / アリル炭酸エステル / 触媒的脱保護 / キナルジン酸 / 無添加 / ルテニウム錯体 |
Research Abstract |
BINAP-Ru錯体とBINAP-Rh錯体を用いるエナミド類の高エナンチオ選択的水素化の分子機構解明研究で得た、技術基盤をもとに、α,β-不飽和カルボン酸類の不斉水素化の機構を追究した。(E)-および(Z)-3-フェニル-2-ブテン酸を標準基質として、重水素標識実験を行い、主鏡像異性体と副鏡像異性体の同位体標識型式の類似性・相違性を詳細に比較検証した結果、(1)E体基質はα,β/β,γ異性化、α,β体の水素化、β,γ体の水素化のネットワークに置かれていること、(2)Z体基質の水素化には主に三種類の機構が関与し、副鏡像異性体の生成には主鏡像異性体の生成にはない機構が働いていること、を明確に示した。不斉反応における主副触媒サイクルのエネルギー図や鏡像面選択性は、副鏡像異性体の起源を確認することなく、単一の反応機構が働くという大前提のもとに議論される傾向にある。その危険性を実験結果をもって具体的にはじめて示すことができた。さらに、「ドナー・アクセプター型二官能性触媒」原理をレドックス型触媒に展開し、新たに「レドックス介在型ドナー・アクセプター二官能性触媒(RDACat)」の考え方を提示した。RDACatを指導原理にアリルオキシ基の活性化反応に取り組み、アリルアルコールとアルコールから脱水的にアリルエーテルを合成する新しい触媒的手法の開発にも成功した。原子効率、Eファクタ、操作性、安全性等のいずれの観点からも従来法に圧倒的に優る。Williamsonのエーテル合成以来150年、懸案の課題を解決した方法として注目される。
|
Research Products
(10 results)