Research Abstract |
本研究では,かさ高い置換基を有する新規な配位子を開発し,これらの配位子上の立体的効果と電子的効果を巧みに組み合わせることにより,新規な結合様式を有する含ヘテロ元素動的錯体を安定化し合成・単離することを目的とする。さらに,得られた錯体の性質を解明し,その機能の発現を目指す。 申請者らは昨年度までの研究において,かさ高い置換基であるBbt(2,6-[(Me_3Si)_2CH]_2-4-[(Me_3Si)_3C]-C_6H_2)基を有する新規な二座ホスフィン配位子{Bbt(Me)PCH_2}_2(1)を合成し、1を用いたジクロロ白金錯体[PtCl_2(1)](2)の合成に成功している。2の還元反応による0価白金錯体[Pt(1)](3)の合成を試みたところ,一旦発生した3のBbt基のo-位のビス(トリメチルシリル)メチル基のメチル基のC-H結合に白金が挿入して生成したと考えられる白金-ヒドリド錯体(4)が生成した。さらに,4の熱反応を検討したところ,C-Si結合が活性化され,メチル(シリル)白金錯体5が得られた。本反応では,通常は遷移金属挿入反応に対して安定なC-Si結合が活性化されており,非常に興味深い。 また,昨年度までの研究において,Tbt(2,4,6-[(Me_3Si)_2CH]_3-C_6H_2)基を有する4族金属のβ-ジケチミナト錯体[MCl_3{(TbtN)C(Me)CHC(Me)(NMes)}(thf)_n](6)(M=Ti,Zr,Hf ; n=0or1)の還元反応により,イミド錯体[M=NTbt{C(Me)CHC(Me)(NMes)}(Cl)(thf)](7)(M=Ti,Zr,Hf)が生成することを明らかにしている。今年度は,6,7がオレフィン重合反応において触媒活性を示すこと,また従来にない非常に大きな分子量のポリオレフィンを生成することを明らかにした。
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