2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14078222
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小澤 文幸 京都大学, 化学研究所, 教授 (40134837)
|
Keywords | ジホスフィニデンシクロブテン / ヒドリド白金錯体 / ヒドリドパラジウム錯体 / C-O結合切断反応 / アリル化触媒反応 / 開環メタセシス重合 / 末端官能基化ポリマー / シリル白金錯体 |
Research Abstract |
(1)sp^2混成リン化合物であるジホスフィニデンシクロブテン(DPCB)を配位子とする一連のメチル白金およびパラジウム錯体を合成し、それらの構造について各種分光学的手法と単結晶X線構造解析を用いて検討した。その結果、DPCBはジホスフィン配位子とジイミン配位子のほぼ中間のσ電子供与性を持つと同時に、構造的に類似したこれらの配位子と比べてはるかに強いπ電子受容性を持つことが明らかとなった。 (2)DPCB配位(π-アリル)パラジウム錯体を触媒とし、アリルアルコールをアリル化剤とするアリル化反応の機構について、想定される反応中間体のモデル錯体と速度論的研究手法を用いて詳細に検討した。その結果、この触媒反応が、従来から提案されている反応とは明らかに異なり、ヒドリドパラジウム錯体中間体によるアリルアルコールのC-O結合の切断を伴って進行していることが明らかとなった。 (3)Fischer型カルベンルテニウム錯体を触媒とし、(Z)-1-アリルチオ-1-プロペン-3-オールを連鎖移動剤として用いることにより、両末端を非対称かつ選択的に官能基化したポリ(ノルボルネン)類を効率的に合成できることを明らかにした。また、合成したポリマーをマクロ開始剤として用いることにより、ABおよびABC型ブロック共重合体を高收率で合成できることを示した。 (4)位置および立体選択的なアルキンの共二量化触媒反応を開発するとともに、フルオレン骨格を主鎖に持っπ共役系ポリマーの合成に応用した。 (5)一連のアルキニル(シリル)白金錯体を合成し、それらの還元的脱離反応について速度論的手法を用いて検討した。その結果、この反応が三中心遷移状態を経由する協奏過程を経て進行することが分かった。 (6)白金触媒によるアルキンのシリルスタニル化触媒反応の素過程を段階的に検証できた。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 小澤文幸: "Preparation and C-Si Reductive Elimination Behavior of cis-Alkynyl(silyl)platinum(II)Complexes"Organometallics. 22・17. 3593-3599 (2003)
-
[Publications] 片山博之: "Ring-Opening Metathesis Polymerization Using (Z)-1-Arylthio-1-propen-3-ols as Chain-Transfer Agents : Efficient Route to Poly(norbornene)-based Macroinitiators Bearing a Terminal Hydroxy Group"Macromolecules. 36・19. 7020-7026 (2003)
-
[Publications] 佐川貴志: "Alkyne-Insertion into cis-Silyl(stannyl)platinum(II)Complexes"Organometallics. 22・22. 4433-4445 (2003)
-
[Publications] 片山博之: "Polyaddition of 2,7-Diethynyl-9,9-dioctylfluorene Using Regio-and Stereoselective Alkyne Dimerization Catalysts"Macromolecules. 37・1. 13-17 (2004)
-
[Publications] 小澤文幸: "Synthesis, Structures, and Reactions of Methylplatinum(II) and-palladium(II)Complexes Bearing Diphosphinidenecyclobutene Ligands(DPCB-Y)"Organometallics. 23・6. 1325-1332 (2004)
-
[Publications] 小澤文幸: "Catalytic C-O Bond Cleavage of Allylic Alcohols using Diphosphinidene-cyclobutene-coordinated Palladium Complexes.Mechanistic Study"Organometallics. 23(印刷中). (2004)