2002 Fiscal Year Annual Research Report
高感度の硬X線観測で探るブラックホールへの物質流入
Project/Area Number |
14079201
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
牧島 一夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20126163)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国分 紀秀 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (50334248)
|
Keywords | ブラックホール / 大気圏外観測 / 硬X線・ガンマ線 / 放射線検出器 / 結晶シンチレータ / 半導体検出器 / 科学衛星 / 低バックグラウンド |
Research Abstract |
本研究の目的は、Astro-E2衛星(2005年度に打上げ予定)に搭載される世界最高の感度をもつ硬X線検出器HXD-II (Hard X-ray Detector)を開発すること、またそれを用いてブラックホールに物質が吸い込まれる際の統一的な理解を得ることである。本年度は鋭意、HXD-IIの製作を推進し、以下のような成果を達成した。 1.HXD-IIのセンサー部(HXD-S)は、Well検出器と呼ばれる、16本の主検出器を擁する。本年度は購入した結晶シンチレータなどを用い、16本のWell検出器の大部分を製作し、それらの温度試験、振動試験、特性評価などを進めた。温度ひずみで結晶が破損するのを防ぐため、CFRP防振材の接着方法を改良した。 2.Well検出器部の出力信号は、HXD-IIのアナログ信号処理部(HXD-AE)の中でWPUと呼ばれるモジュールで処理される。本年度はWPUの衛星搭載回路を最終設計するとともに、さまざまな予備試験を通じてその特性を確認した。また必要な高信頼性と放射線耐性をもつ電子部品の選定を進めた。 3.HXD-IIのデジタル信号処理部(HXD-DE)の設計を進め、その搭載ソフトウェアのコーディングに着手した。 4.衛星軌道上での検出器の放射化特性を定量化するため、阪大、理研などにおいて加速器ビーム照射実験を数回にわたって行い、貴重なデータを取得した。 5.HXD-IIでの観測の準備として、Chandra、XMM-Newtonなどの衛星データ解析を進めた。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] M.Namiki, N.Kawai, T.Kotani, K.Makishima: "Chandra HETGS Observations of SS 433"Publications of the Astronomical Society of Japan. Vol.55(In press). (2003)
-
[Publications] N.Isobe, M.Tashiro, K.Makishima, N.Iyomoto, M.Suzuki, M.M.Murakami, M.Mori, K.Abe: "A Chandra Detection of Diffuse Hard X-Ray Emission Associated with the Lobes of the Radio Galaxy 3C 452"Astrophysical Journal Letters. Vol.580. L111-L115 (2002)
-
[Publications] H.Xu, S.Kahn, J.Peterson, E.Behar, F.Paerels, R.Mushotzky, G.Jernigan, A.Brinkman, K.Makishima: "High-Resolution Observations of the Elliptical Galaxy NGC 4636 with the Reflection Grating Spectrometer on Board XMM-Newton"Astrophysical Journal. Vol.579. 600-606 (2002)