2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14081201
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
谷口 英樹 横浜市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70292555)
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Keywords | 内胚葉 / 幹細胞 / 可塑性 |
Research Abstract |
内胚葉系組織幹細胞の分離とその可塑性機構の解明 単離した肝臓、膵臓および腸管細胞集団の中から、極少数しか存在せずかつ形態によって区別することが難しい多能性を持つ幹細胞(stem cell)を、FACS (fluorescence activated cell sorter)とモノクローナル抗体を用いた精度の高い細胞分離法により純化・回収し、それらの分化・増殖・自己複製機構と「可塑性」を解析することを目的として研究を行った。可塑性の制御による腸管上皮細胞からのインスリン産生細胞の分化転換を検討した。すなわち、腸管幹細胞が高頻度に含まれると考えられるマウス胎児腸管上皮細胞を単離して培養を行い、各種の分化誘導因子を添加して、RT-PCR、定量的PCR、免疫染色法によりインスリンの発現を検討した。その結果、膵・細胞の分化誘導作用を有する生理活性ペプチドであるglucagon like peptide-1(1-37)に、腸管上皮細胞におけるインスリン遺伝子およびインスリンタンパクの発現誘導作用があることが明らかになった。誘導された腸管上皮細胞由来のインスリン産生細胞は、培養液中にインスリンを分泌しており、弱いながらもグルコース応答性を有することが判明した。妊娠マウスウへの投与実験においても、glucagon like peptide-1(1-37)は胎児腸管上皮におけるインスリン産生細胞の分化誘導作用を有することが確認された。さらに、glucagon like peptide-1(1-37)を添加して器官培養を行いインスリン産生細胞を誘導した腸管組織を、Type1コラーゲンゲルで包埋して糖尿病マウスの腹腔内に移植したところ、血糖値の降下作用や体重減少の抑制作用などの治療効果が観察された。そして、移植後60日目の移植腸管組織の免疫染色法による解析では、多数のインスリン陽性細胞がクラスターを形成していることが判明した。これらの結果は、未分化な腸管上皮細胞の分化の可塑性を利用することにより、膵外組織において異所性にインスリン産生細胞を誘導することが可能であることを示唆するものである。糖尿病に対する再生医学的アプローチとして期待されると考えられる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Suzuki A, Zhen: "Liver repopulation by c-Met-positive stem/progenitor cells isolated from developing rat liver."Hepato-gastroenterology. 51. 429-433 (2004)
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[Publications] Zheng Y.W: "Deversity of Hepatic Stem Cells in the Fetal and Adult Liver."Seminars in Liver Disease. 23(4). 337-348 (2003)
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[Publications] Suzuki A: "In vitro production of functionally mature hepatocytes from prospectively isolated hepatic stem cells"Cell Transplantation. 12. 469-473 (2003)
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[Publications] Suzuki A: "Glucagon-like peptide-1 (1-37) converts intestinal epithelial cells into insulin-producing cells"Proc Nat Acad Sci USA. 100(9). 5034-5039 (2003)
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[Publications] Suzuki A: "Role for growth factors and extracellular matrix in controlling differentiation of prospectively isolated hepatic stem cells"Development. 130. 2513-2524 (2003)
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[Publications] Ishiguro S: "Auxiliary partial orthotopic liver transplantation for fulminant hepatitis : regeneration of the diseased native liver in a pig model"Transplantation. 75(11). 1901-1904 (2003)
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[Publications] 谷口英樹: "肝臓における幹細胞生物学.肝・胆・膵疾患の最新医療、戸田剛太郎・沖田極・松野正紀他編集"先端医療技術研究所. 99-102 (2003)