2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14081202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中内 啓光 東京大学, 医科学研究所, 教授 (40175485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
依馬 秀夫 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (50344445)
岩間 厚志 東京大学, 医科学研究所, 講師 (70244126)
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Keywords | ポリコーム群タンパク / Bmi-1 / 精子幹細胞 / Lnk / 自己複製能 / 造血幹細胞 / Repopulation Unit / Competitive Repopulation Unit |
Research Abstract |
1)幹細胞の未分化性維持に関与する転写制御因子Bmi-1 クロマチン修飾を介した転写制御に関与するポリコーム群(polycomb group : PcG)タンパク質のなかでPRC1複合体を形成するBmi-1,M33,Mph1/rae28,Mel-18は未分化な造血細胞とリンパ球で強い発現が認められる。Bmi-1欠損マウスにおいて造血幹細胞の自己複製能の低下があることを昨年明らかにしたが、さらにBmi-1,M33,Mph-1/Rae28,Mel18などの複合体構成遺伝子をレトロウイルスを用いて造血幹細胞に強制発現したところ、Bmi-1のみ有意な造血幹細胞の増幅を示した。以上の所見は、Bmi-1がポリコーム群タンパクによる造血幹細胞制御の中心的な分子であることを示しており、その発現・機能制御により造血幹細胞操作が可能であることが強く示唆される。 2)精子幹細胞の自己複製とBmi-1 免疫組織染色によりBmi-1はspermatogoniaにおいて強く発現されていることを明らかにした。Bmi-1欠損マウス精巣ではspermatogoniaが加齢に伴って減少すること、またBmi-1欠損精子幹細胞をBusulfan投与したマウス精巣に移植したところ、ほとんど精巣を最構築できないことが明らかになった。これらのデータはBmi-1が造血幹細胞、神経幹細胞のみならず精子幹細胞の自己複製にも直接的に関与していることを示唆するものであり、Bmi-1が体性幹細胞を特徴づける機能分子の一つであることが明確に示された。 3)血幹細胞の活性を定量的に解析する方法の開発とLnk欠損マウスにおける造血亢進 LnkはSH2ドメインを持つアダプター分子で、c-kitの下流のシグナルを抑制的に制御すると考えられている。Lnk欠損マウスでは造血能が亢進していることが移植実験で示されている。このマウス骨髄における造血能の亢進の理由をCompetitive Repopulation Unit (CRU), Repopulation Unit (RU), Mean Activity of Stem Cell (MAS)を測定することにより解析した。その結果、野生型マウスに較べて造血幹細胞数が増加しているだけでなく、個々の造血幹細胞の造血能もLnk欠損マウス由来造血幹細胞では有意に亢進していることが示された。一方で、野生型、Lnk欠損マウスのどちらにおいても造血幹細胞は徐々に造血能を失うことが明らかとなり、造血幹細胞の自己複製が厳密には完全なものでないことが示唆された。
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Research Products
(6 results)