2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14081204
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小川 峰太郎 熊本大学, 発生医学研究センター, 教授 (70194454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 比呂志 熊本大学, 発生医学研究センター, 助手 (00347014)
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Keywords | 造血幹細胞 / 血管内皮細胞 / 胚性幹細胞 / 細胞系譜 / リンパ球 / 多能性 / 個体発生 / 中胚葉 |
Research Abstract |
造血システムの発生において造血幹細胞のStemnessが成立する機構を理解するためには、造血幹細胞に分化する直接の前駆細胞を明らかにする必要がある。マウスの造血幹細胞は胎生10.5日の胎仔下位体幹AGM領域で発生することが受け入れられている。造血幹細胞は背側大動脈の内皮細胞に由来することが提唱されてきたが、背側大動脈よりさらに腹側に局在するCD41陽性細胞が造血幹細胞を含むことが示されるなど、造血幹細胞の細胞系譜的起源についてはなお議論の余地がある。本研究では、これらの細胞集団をマウス卵黄嚢と胎仔下位体幹からそれぞれ分離しその血液分化能を評価した。 CD41陽性細胞は、胎生9.5〜11.5日の卵黄嚢および胎仔体幹部のいずれから分離した場合にも赤血球、骨髄球およびBリンパ球への分化能を示した。一方、内皮細胞は胎生9.5〜10.5日の組織から分離した場合にのみ血液分化能を示した。卵黄嚢から分離された内皮細胞は赤血球、骨髄球およびBリンパ球への分化能を示したが、胎仔体幹から分離された内皮細胞からはBリンパ球に極度に偏向した培養しか得られなかった。Dll1を発現するOP9細胞を用いた解析により、胎生10.5日の組織から分離されたいずれの細胞集団においてもTリンパ球への分化能を検出することができた。しかし、致死量放射線を照射されたマウスへの移植においては、いずれの細胞集団についても骨髄再構築能を認めることができなかった。 以上の結果から、AGM領域を含む胎仔体幹の内皮細胞はリンパ球系列に偏向した血液分化能しか持たず、AGM領域の造血幹細胞はその場で内皮細胞から分化したものではないことが示唆される。 現在、内皮細胞およびCD41陽性細胞に由来する全ての細胞系列を追跡するためのTGマウスを作成中であり、今後これらを用いて骨髄造血幹細胞の細胞系譜的起源を明らかにする予定である。
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Research Products
(12 results)