2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14082201
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
中山 淳 信州大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10221459)
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Keywords | ピロリ菌 / 糖鎖 / 糖鎖遺伝子 / 遺伝子改変マウス |
Research Abstract |
本研究の目的はピロリ菌感染胃粘膜におけるO-グリカンの役割を明らかにすることである。前年度までの研究成果で、胃腺粘液に含まれているα1,4-G1cNAc含有O-グリカンがピロリ菌の生存に必須な細胞壁成分であるコレステリル-α-D-グルコピラノシド(CGL)の生合成を阻害することで抗菌作用を発揮することを明らかにした。本年度はCGLの生合成に関わるコレステロールα-グルコース転移酵素(CHLαGcT)の遺伝子を発現クローニングにより単離し、この酵素が394アミノ酸からなる蛋白で、ピロリ菌のゲノムデータベース上、HP0421として登録されている分子であることを示した。さらに、CHLαGcTの酵素活性がα1,4-G1cNAc含有O-グリカンによって阻害されることを証明した。一方、α1,4-G1cNAc含有O-グリカンを欠損したα4GnTマウスを作出するため、α4GnT遺伝子の翻訳部位であるエクソン2と3をPGK-neoで置換したターゲティングベクターを構築し、ES細胞に遺伝子導入することでα4GnT遺伝子座の片側アレルが欠損したES細胞株を樹立した。このES細胞をC57BL/6マウスの初期胚に注入してキメラマウスを得た後、キメラマウスとC57BL/6マウスの交配でヘテロ変異体(F1)を得た。F1同士の交配が終了し、現在、F2の出産を待っている。また、胃粘膜の表層にα1,4-G1cNAc含有O-グリカンを発現したマウスを作出するため、MUC5AC遺伝子の発現制御領域内にヒトα4GnTゲノムDNAを挿入したトランスジーンを構築した。この遺伝子をC57BL/6マウスの受精卵に顕微注入し、仮親の子宮に移植してファウンダーを得た。自然交配でファウンダーがF1を残さなかったため、雄のファウンダーを用いて体外受精を行い、雄と雌のF1を得た。導入遺伝子を確認した後、表現型を解析する予定である。
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Research Products
(5 results)