2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14082204
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
本家 孝一 高知大学, 医学部, 教授 (80190263)
|
Keywords | オリゴデンドロサイト / 糖脂質 / 神経科学 / セレクチン / 発生・分化 / 腎臓 / 炎症 / 単球 |
Research Abstract |
昨年度までに、糖脂質硫酸転移酵素(CST)のノックアウトマウスは、脳と精巣におけるスルファチドとセミノリピドを完全に欠き、ミエリン機能異常による神経症状を呈するとともに、精子形成が第1減数分裂中期において停止することを明らかにしてきた。中枢神経系のミエリンは、オリゴデンドロサイトで生成され、ミエリン成分のスルファチドもオリゴデンドロサイトで生合成される。スルファチドは、オリゴデンドロサイトの分化過程において、前駆細胞が増殖を止めて成熟化を始める頃に発現するようになるので、オリゴデンドロサイトの成熟化制御に関与する可能性が想定されてきた。CST欠損マウスでは、in vitroでもin vivoでもオリゴデンドサイトの成熟化が促進しており、スルファチドが、オリゴデンドロサイトの分化を負に制御するキー分子であることを明らかにした(Glia 45:269,2004)。CST欠損マウスの解析により、スルファチドが成熟したミエリンの微細構造の維持に働くばかりでなく、オリゴデンドロサイトの分化制御にも関与していることが明白となった。現時点では、この両者の関連は定かではない。 CST欠損マウスは、腎臓においてもスルファチドを完全に欠損しているが、通常の状態で飼育しているかぎり腎機能の異常はみられず、1年以上生存可能である。しかしながら、CST欠損マウスは、腎臓におけるL-セレクチンリガンド活性を消失していた。さらに、CST欠損マウスとL-セレクチン欠損マウスにおいて、尿管結紮で誘導される単球の浸潤が同程度に抑制されることより、単球上のL-セレクチンと腎臓のスルファチドの相互作用が間質性腎炎の引き金となる単球の浸潤に重要な役割を果たすことが明らかとなった(JBC 279:2085,2004)。
|
Research Products
(3 results)