2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14082204
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
本家 孝一 高知大学, 医学部, 教授 (80190263)
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Keywords | 単鎖抗体 / 硫酸化糖脂質 / ファージディスプレイ / 精子形成 / 生殖細胞移植 |
Research Abstract |
昨年度までに、糖脂質硫酸転移酵素(CST)のノックアウトマウスは、脳と精巣に存在する硫酸化糖脂質のスルファチドとセミノリピドを完全に欠き、ミエリン機能異常による神経症状を呈するとともに、精子形成が第一減数分裂中期において停止すること、さらに、CST欠損マウスでは、オリゴデンドロサイトの成熟化が促進していることを明らかにし、論文発表してきた。これらの組織における硫酸化糖脂質の生化学的機能を解析するために、硫酸化糖脂質に対する単鎖抗体scFvを作製した。スルファチドをCST欠損マウスに免疫し、単クローン抗体DI8(IgG3)を得た。DI8は抗体は、スルファチドとセミノリピドとも同程度に反応したが、中性糖脂質やガングリオシドや他の硫酸化糖鎖とは結合しなかった。SM2とは結合しなかったので、DI8抗体は末端ガラクトース3-硫酸構造を認識すると思われる。DI8のH鎖とL鎖の可変部をコードする遺伝子を得、単鎖抗体scFvをファージディスプレイシステムで発現させ、最終的に、可溶性scFv抗体が元のDI8抗体の特異性を保持することを示した(JB 137:415, 2005)。 CST欠損マウスでは精子形成が中断するが、その原因が生殖細胞側にあるのか、支持細胞であるセルトリ細胞側にあるのかが不明であった。そこで、Cst+/+グリーンマウス(緑色蛍光タンパク質を全身に発現している)由来の精原細胞を、CST欠損マウスの精細管内への移植した結果、CST欠損マウスの障害は生殖細胞側に存在することが明らかとなった。さらに、精巣におけるセミノリピドの発現を単クローン抗体による免疫染色で調べると、セミノリピドは分化型精原細胞以降の生殖細胞系譜の細胞表面に強く染色された(Glycobiology 15:649, 2005)。
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Research Products
(5 results)