2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14082207
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
菅原 一幸 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (60154449)
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Keywords | コンドロイチン硫酸 / コンドロイチン合成酵素 / ヘパラン硫酸 / 細胞分裂 / chondroitin polymerizing factor / 糖転移酵素 / ガン抑制遺伝子 / EXT |
Research Abstract |
生理機能をもったグリコサミノグリカンがどのように生合成されるのかを解明するための実験を行ない、以下に示す成果が得られた。 1.ヘパラン硫酸(HS)の生合成酵素EXT1のノックアウトマウスを作成したところ、胎生致死であった。このマウスはEXT1遺伝子を殆ど発現していないにも関わらず、正常な硫酸化修飾構造を持ったHS鎖を合成していた。しかし、このHS鎖は鎖長が3分の1以下に減少していた。HSの生理活性は、硫酸化構造のみならず鎖長の変化によっても調節されている可能性がある。 2.コンドロイチン硫酸(CS)の糖鎖伸長調節メカニズムを解明するため、モデル生物である線虫を利用した。線虫には、コンドロイチン合成酵素であるcChSy以外に、これとホモロジーのあるPAR2.4という遺伝子があった。PAR2.4について酵素活性測定、RNAi実験を行なったところ、PAR2.4は酵素活性は持たないが、cChSyの活性調節因子として線虫におけるコンドロイチン合成に不可欠であることが分かった。 3.先天性脊椎・骨端異形成症の原因遺伝子として、コンドロイチン6硫酸転移酵素1(C6ST-1)が候補となった。そこで、患者のC6ST-1遺伝子および遺伝子産物を調べた。すると、C6ST-1遺伝子に点突然変異が起こっており、酵素活性が失われ、患者CSの硫酸化構造が変化していた。CSは軟骨に多量に存在するため、CSの構造変化が関節軟骨や椎間板の異常を引き起こしていると予想された。 4.細胞表面に存在する主要なHSプロテオグリカンであるシンデカンのうち、シンデカン-1と-4は、CS鎖も持つ。同一のマウス乳腺上皮細胞が産生するシンデカン-1と-4のHS鎖の構造は極めて酷似しているが、CS鎖の構造は異なっており、シンデカンと細胞増殖因子との結合には、HS鎖のみならずCS鎖やコアタンパク質も関与していることを証明した。
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