2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14082209
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
遠藤 玉夫 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 研究部長 (30168827)
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Keywords | 糖転移酵素 / 筋ジストロフィー / Oマンノース型糖鎖 |
Research Abstract |
筋細胞膜の安定化に係わるα-ジストログリカンは、Oマンノース型糖鎖と呼ばれる特殊な糖鎖を有する。Oマンノース型糖鎖の合成に関わる糖転移酵素遺伝子POMGnT1とPOMT1はそれぞれ先天性筋ジストロフィー症のmuscle-eye-brain病(MEB)とWalker-Warburg症候群(WWS)の原因遺伝子であることから、Oマンノース型糖鎖の機能を解析することにより、先天性筋ジストロフィーの病態解明への重要な知見が得られることが期待される。本年度哺乳類におけるOマンノース転移酵素活性に必要な二つの成分、POMT1とPOMT2は複合体を形成していることを証明した。まずPOMT1とPOMT2の細胞内局在を調べてみると共にERに存在していた。次にPOMT1とPOMT2を共発現させた細胞膜画分を用いてPOMT1を免疫沈降した結果、POMT2の共沈が観察されたことから、POMT1とPOMT2は複合体を形成することが明らかになった。また、免疫沈降物(POMT1-POMT2複合体)にO-マンノース転移活性が検出され、O-マンノース転移酵素はPOMT1-POMT2複合体として機能していることが明らかとなった。一方、POMT1及びPOMT2をそれぞれ単独発現させた細胞の混合膜画分ではPOMT1とPOMT2の共沈は観察されなかった。また、WWS患者で見いだされた変異型POMT1はPOMT2と共発現しても酵素活性は検出されなかった。しかし、免疫沈降でPOMT2を共沈させることから、複合体を形成することが分かった。POMT1とPOMT2の単独発現後の混合膜画分では複合体を形成できず、酵素活性も検出されないことから、POMT1-POMT2複合体はタンパク質が合成される段階(翻訳の際)にERで形成されるものと考えられる。POMT1とPOMT2のmRNAの各組織における発現量のパターンが一致することが報告されていることからも、両者が同時期に同じ量同じ場所に存在することがこの酵素の機能に重要であることが予想される。
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