2004 Fiscal Year Annual Research Report
コンドロイチン硫酸糖鎖による中枢神経回路の構築と制御
Project/Area Number |
14082210
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
大平 敦彦 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 周生期学部, 部長 (20101074)
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Keywords | 中枢神経 / プロテオグリカン / コンドロイチン硫酸 / 神経系前駆細胞 / FGF-2 / 細胞増殖 / NGC / 遺伝子改変マウス |
Research Abstract |
本研究の目的は、中枢神経系の主要な細胞表面分子であるにも関わらず、その生理機能についてはほとんど理解されていないコンドロイチン硫酸(CS)の役割を解明することである。この目的に向かって、本年度は、以下の成果を上げた。 1.コンドロイチン硫酸を持たないNGCのみを発現する遺伝子改変マウスの作製 中枢神経特異プロテオグリカンであるNGCは、123番目のセリン残基にのみCS糖鎖が導入されている。NGC上のCS糖鎖の役割を動物個体レベルで明らかにするため、123番目のセリンがアラニンに置換されたNGCを発現するマウスの作製を目指してきたが、ようやくヘテロ接合体を得た。また、NGC完全欠失マウスのホモ接合体の作製にも成功し、C57BL/6系統に戻し交配を行い、遺伝子背景の均質化に努めている。一方、NGC発現低下マウスについては、戻し交配も6世代まで進み、本格的な表現型の解析を始めた。 2.コンドロイチン硫酸による神経系前駆細胞の機能調節 神経系前駆細胞のニューロスフェアー培養系に、FGF-2と共に種々の市販CS標品を添加したところ、CS-BおよびCS-Eがヘパリンやヘパラン硫酸と同程度の増殖促進効果を持つことを発見した。さらに、驚くべきことに、神経系前駆細胞に富む胎生14日ラット胎仔脳由来のCS標品にも、FGF-2依存性の神経系前駆細胞の増殖を促進する活性が認められた。CS-BおよびCS-E多糖鎖中の、神経系前駆細胞増殖促進活性領域を同定することを目指して、CS-Bを亜硝酸/ヒドラジン分解により、また、CS-Eを精巣性ビアルロニダーゼ消化により、分子サイズの異なるオリゴ糖を調製した(弘前大学・高垣啓一教授による)。いずれのオリゴ糖も、FGF-2の活性を増強しなかった。この結果から、FGF-2依存性の細胞増殖を促進するためには、CS-BとCS-Eは多糖であることが必要である。
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