2005 Fiscal Year Annual Research Report
統計力学にもとづくCDMAマルチユーザ復調方式の解析
Project/Area Number |
14084209
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 利幸 京都大学, 大学院・情報学研究科, 教授 (10254153)
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Keywords | 統計神経力学 / CDMA / マルチユーザ復調 / レプリカ法 / 確率伝搬法 |
Research Abstract |
本年度当初の研究実施計画では,昨年度までに得られた解析的結果の検証のための数値シミュレーションの実施に重点をおくものとしていたが,本年度になってアメリカ合衆国のGuoとVerduによって本計画研究ですでに得ていた解析的結果を大きく拡張する研究成果が報告された.彼らの結果は,ガウス通信路を仮定するものの,任意の情報シンボル事前分布に対して統計力学的な解析結果を与える強力な研究成果である.このことを受けて,本年度は彼らの解析結果をさらに一般化することができるかどうかをまず検討し,ユーザ間で情報シンボルに統計的相関を許容し,さらに一般の非ガウス形通信路ノイズを想定した極めて一般的な条件の下で統計力学的解析を実施し解析結果を得,これにより,GuoとVerduが得た結果をさらに拡張することに成功した.続いて,フェーディング通信路モデル(無線通信路にランダムな伝搬遅延があるため受信信号の振幅がランダムに変動するモデル)に対する性能評価を実施し,情報シンボルと信号振幅との同時推定による性能改善について議論した.さらに,周波数ホッピング方式の拡散変調方式を想定したモデルの解析的性能評価を実施し,解析結果を得た. 並行して,CDMAマルチユーザ復調のアルゴリズムに関しても検討を進めたが,本年度の中途で計画研究代表者が研究機関を異動したこともあって当初の計画通りの成果を得るには至っていない.具体的な研究成果としては,Onsager反跳項の補正にもとづく我々の提案手法にDivsalarらにより提案されている部分干渉除去法を組み合わせたものが,確率伝搬法にもとづいて樺島により提案されている復調アルゴリズムと等価になるという知見にもとづき,ユーザ間で信号振幅にばらつきがある場合について確率伝搬法にもとづくアルゴリズムにストリッピング(信号振幅が大きいユーザ集団についての復調を先に行い,多元接続干渉の影響の低減を試みる手法)を適用した場合の性能改善効果について検討し,この問題に関して解析的な性能評価結果がアルゴリズムの性能の推定に有効であることを数値シミュレーションにより確認した.
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Research Products
(5 results)