2005 Fiscal Year Annual Research Report
ベイズ推定に基づくデコード過程に関する統計力学的理論とその応用
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14084212
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 真人 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (90233345)
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Keywords | ベイズ推定 / 統計力学 / 確率的情報処理 / CDMA / 画像修復 / 誤り訂正符号 / 量子断熱発展 / 主成分分 |
Research Abstract |
CDMAマルチユーザー復調器のダイナミクスを経路積分法と動的レプリカ法で解析した.経路積分法は,前年度に用いた統計神経力学とは異なり,入力に関するガウス近似を用いない解析手法である.そのため統計神経力学がどの程度の近似精度を持つかを議論できる.その結果,統計神経力学では考慮に入れられてなかった項が存在することがわかった.さらに,昨年度提案したオンサガー反蹴項を引き抜きながら復調する新たなアルゴリズムを経路積分法で解析した.その結果,このアルゴリズムに関しては,統計神経力学と経路積分の結果は一致することがわかった.動的レプリカ法は,等重率の原理と自己平均性を仮定することにより,ダイナミクスから生じる統計的相関を取り扱う方法である.我々が導出した動的レプリカ法の鞍点方程式は平衡レプリカ法のそれに一致した.また理論は計算機シミュレーションの結果をよく説明した.これら二つの理論を用いることより,CDMAマルチユーザー復調器の設計指針が得られた. 確率的情報処理の復調・復号は最適化問題に帰着される.最適化問題での局所最適解を回避する手法として,量子アニーリングを研究した.熱的アニーリングでは,アニーリング時間τに対して,1/logτのオーダーで残留エネルギーが小さくなることが知られている.今回我々は,量子アニーリングでは,残留エネルギーが1/τのオーダーで小さくなることを示した.この知見は,熱的アニーリングに比べて,量子アニーリングは指数オーダーで早いことを示唆している.
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