2003 Fiscal Year Annual Research Report
構造的分子計算理論-自律的計算系の解析と設計のための基礎理論
Project/Area Number |
14085205
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
横森 貴 早稲田大学, 教育学部, 教授 (60139722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊原 康文 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (10287427)
楠元 範明 早稲田大学, 教育学部, 助教授 (60277861)
上田 和紀 早稲田大学, 理工学部, 教授 (10257206)
鈴木 泰博 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (50292983)
小林 聡 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (50251707)
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Keywords | DNAコンピュータ / 情報基礎 / 自己組織化 / 生体機能利用 / 分子機械 |
Research Abstract |
1.自律的計算系の解析と設計:(1)有限オートマトンという計算モデルをタンパク質合成系と拡張コドンを用いて実現し,試験管の中でその計算を実行する「新しいタイプのDNAコンピュータ」を提案した.タンパク質合成系を用いることにより,従来のDNAコンピュータにおいて最大の問題(DNA分子の水素結合を用いたハイブリダイゼーションという演算による精度の低さとエラー)を解決することができた.(2)DNA計算で用いる配列集合の設計に役立つアルゴリズムとシステムの開発を行った.まず,配列集合Sが与えられたとき,S^+に属するすべての配列が線形な二次構造を取らないための十分条件を求めた.また,二次構造を取らない配列の抽出問題を,この十分条件を利用することにより,超グラフ上の最大クリーク抽出問題に還元することに成功した.また,その後の研究の進展により,S^+が線形な二次構造を取らないための効率良く評価できる必要十分条件を求めることに成功した.(3)分子コンピューティングの基礎的な研究として,化学反応の抽象モデルARMSの研究を応用と理論の両面から行った.応用研究としては癌関連タンパクとしてよく知られているP53に関する細胞内シグナル伝達系のモデル化を中心に行った.計算機シミュレーションによりこのモデルが分子生物学的な知見と一致するように振舞うことを確認した. 2.並列計算系による分子計算シミュレータの設計と試作:2002年度の試作処理系をベースに今後開発予定の本格的並列分散処理系開発のベースとなる強固な基準実装の構築を進めた.自己組織化と関連の深い題材としてPCR,セルオートマトン,二分子生物ロボット,平衡二分木などをとりあげ,例題の記述実験を通じて,LMNtalが自己組織化反応のプログラミングのための記述力と簡潔性の両方を備えていることを確認した.
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Research Products
(20 results)
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[Publications] A.Takahara, T.Yokomori: "On the computational power of Insertion-Deletion Systems"Natural Computing. 2・4. 321-336 (2003)
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[Publications] K.Ueda, N.Kato: "The Language Model LMNtal"Lecture Notes in Computer Science, Springer. 2916. 517-518 (2003)
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[Publications] 上田和紀, 加藤紀夫: "言語モデルLMNtal"コンピュータソフトウェア. 21・2(掲載予定)(未定). (2004)
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[Publications] 稲垣 良一, 上田 和紀: "MPクラスタにおける効率的なMPI集団通信関数の実装"先進的計算基盤システムシンポジウム SACSIS2003. 171-172 (2003)
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[Publications] 加藤紀夫, 上田和紀: "LMNtalプロセスの振舞いの定式化"日本ソフトウェア科学会第20回大会論文集. 16-20 (2003)
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[Publications] 矢島伸吾, 永田貴彦, 加藤紀夫, 上田和紀: "LMNtalプロトタイプ処理系の設計と実装"日本ソフトウェア科学会第20回大会論文集. 21-25 (2003)
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[Publications] S.Kobayashi, T.Kondo, K.Okuda, E.Tomita: "Extracting Globally Structure Free Sequences by Local Structure Freeness"Proceedings of 9th International Meeting on DNA Based Computers. 206 (2003)
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[Publications] S.Kobayashi, T.Kondo, K.Okuda, E.Tomita: "A method for extracting globally structure free set of sequences"Technical Report of IEICE. COMP2003-16. 1-6 (2003)
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[Publications] S.Kobayashi: "Structure Free Sequences for Biomolecular Computing"The 990th American Mathematical Society Fall Eastern Sectional Meeting, Binghamton University. 80 (2003)
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[Publications] S.Kobayashi, T.Yokomori, Y.Sakakibara: "An Algorithm for Testing Structure Freeness of Biomolecular Sequences"Lecture Notes in Computer Science, Springer. 2950. 266-277 (2004)
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[Publications] 小林 聡: "分子計算のための配列設計"第6回情報論的学習理論ワークショップ予稿集. 307-314 (2003)
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[Publications] 小林 聡: "DNAコンピューティングのための配列設計"情報処理. 45・2. 164-169 (2004)
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[Publications] 圷 弘明, 加藤紀夫, 上田和紀: "LMNtalにおけるルールセット不変性の検査"第6回プログラミングおよびプログラミング言語ワークショップ(PPL2004):日本ソフトウェア科学会. (未定). (2004)
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[Publications] 加藤紀夫, 上田和紀: "並行言語モデルLMNtalにおけるプロセス構造の解析"第6回プログラミングおよびプログラミング言語ワークショップ(PPL2004)日本ソフトウェア科学会. (未定). (2004)
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[Publications] 水野 謙, 永田 貴彦, 加藤紀夫, 上田 和紀: "LMNtalルールコンパイラにおける内部命令の設計"情報処理学会第66回全国大会. (未定). (2004)
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[Publications] Y.Sakakibara, T.Hohsaka: "In Vitro Translation-based Computations"Proceedings of 9th International Meeting on DNA Based Computers. 175-179 (2003)
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[Publications] Y.Sakakibara: "DNA-based Algorithms for Learning Boolean Formulae"Natural Computing. 2・2. 153-171 (2003)
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[Publications] 榊原康文: "分子コンピュータを用いた計算と学習アルゴリズム"第6回情報論的学習理論ワークショップ(IBIS2003). 299-306 (2003)
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[Publications] Y.Suzuki, P.Davis, H.Tanaka: "Emergence of auto-catalytic structure in stochastic self-reinforcing reaction networks"J.of Artificial Life and Robotics. (to appear)(未定). (2004)
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[Publications] Y.Suzuki, J.Takabayashi, H.Tanaka: "Investigation of tritrophic system in ecological systems by using an artificial chemistry"J.of Artificial Life and Robotics. 6. 129-132 (2002)