2004 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス感受性シグナル伝達路の制御因子としてのプロテインホスファターゼ2C
Project/Area Number |
14086201
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 孝安 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (10221970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 眞理 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (20124604)
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Keywords | ストレス / ホスファターゼ / SAPK |
Research Abstract |
細胞の分化、アポトーシス、ストレス応答に関わる重要な情報伝達経路であるSAPKシグナル伝達路は、MAP3K,MAP2K,JNK/p38の3段階のプロテインキナーゼにより構成されるており、各段階におけるリン酸化による活性化とプロテインホスファターゼによる負の制御がうまくバランスを取ることにより精密に調節されている。本研究では、プロテインホスファターゼ2C(PP2C)の同経路における制御因子としての役割を詳細に解明することを目的としており、本年度は以下の研究実績を得た。 (1)PP2CεによるASK1の活性制御機構 以前、我々はPP2Cεが細胞内でASK1と会合し、その活性化に必要なthreonine残基(Thr845)を脱リン酸化できることを明らかにした。今回、細胞を過酸化水素処理により、ASK1とPP2Cεの会合形成が一過性に抑制されることを明らかにした。これらの結果は、PP2Cεが単にASK1の不活性化状態を維持するというよりも、ASK1の活性化機構の重要な因子であることを示唆している。 (2)PP2CδによるASK1の活性化亢進の機構 今回我々は、細胞にPP2Cδを過剰発現させると、TNFα依存性のAP-1活性を増強することを明らかにした。このとき、PP2CδはASK1の活性化を特異的に増強していた。一方、TAK1の活性化にはPP2Cδの発現の影響は認められなかった。また、PP2Cδの細胞内でのASK1との特異的な会合も観察された。現在、この活性化亢進の詳細な機構を解析している。 (4)PP2Cεのノックアウトマウスの作製 PP2CεのSAPKシステムの制御因子としての生理的意義を明らかとする目的で、同遺伝子のノックアウトマウスの作製を進めてきた。現在までに遺伝子破壊部位をヘテロに持つマウスを得ることができ、現在、遺伝子破壊部位をホモに持つマウスを作製中である。
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Research Products
(3 results)