2005 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス感受性シグナル伝達路の制御因子としてのプロテインホスファターゼ2C
Project/Area Number |
14086201
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 孝安 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (10221970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 眞理 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (20124604)
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Keywords | ストレス / プロティンホスファターゼ / SAPK |
Research Abstract |
SAPKシグナル伝達路は、細胞の分化、アポトーシス、ストレス応答などに関わる重要な情報伝達経路である。同経路は、MAP3K, MAP2K,JNK/p38の3段階のプロテインキナーゼにより構成されており、各段階におけるリン酸化による活性化とプロテインホスファターゼによる負の制御のバランスが精密な調節に必須である。本研究は、プロテインホスファターゼ2C(PP2C)の同経路における制御因子としての役割を詳細に解明することを目的としており、本年度は以下の研究実績を得た。 (1)ASK1の活性制御機構に関わる2つのPP2Cファミリーメンバーの役割 以前我々は、PP2Cの2つのアイソフォームPP2CεとPP2Cδをそれぞれ細胞に発現させると、ASK1の活性化に対し、それぞれ抑制と亢進という正反対の作用をおよぼすことを見出した。本年度はその詳細な解析を行い、負の制御因子であるPP2CεがTNFα処理後いったんASK1より離れるのに合わせ、正の制御因子であるPP2Cδの会合が起こり、その後、PP2Cεの再会合とともにPP2Cδの解離が認められた。この結果は、PP2CεとPP2Cδが協調してASK1の活性化および基底状態への復帰に関わっていることを示している。 (2)PP2Cεのノックアウトマウスの作製 PP2CεのSAPKシステムの制御因子としての生理的意義を明らかとする目的で、同遺伝子のノックアウトマウスの作製を進めてきた。遺伝子破壊部位をホモに持つマウスは出生したが、直後に大部分が致死となった。わずかに生き残ったホモ変異体は低体重を呈した。変異をヘテロに持つマウスは、正常に生育し、生殖能も正常だったが、高脂肪食摂取時に、野生型が起こすような肥満状態を呈せず、血糖値も正常だった。現在、同ノックアウトマウス胎児より得た繊維芽細胞を用い、ASK1およびその下流の因子の活性化状態を検討し、表現型との関連を調べている。 (3)PP2CζのJNKによるリン酸化の役割 我々は以前、精巣の生殖細胞に特異的に発現するPP2CメンバーであるPP2Cζが細胞内でJNKによりリン酸化されることを明らかにした。本年度はその役割を明らかにする目的で、精巣からアフィニティーカラムでリン酸化特異的に結合するタンパクの同定を試み、現在解析を行っている
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Research Products
(8 results)