2005 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物のストレス応答MAPキナーゼ経路における足場タンパク質の解析
Project/Area Number |
14086205
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
善岡 克次 金沢大学, がん研究所, 教授 (60200937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 道彦 北里大学, 理学部, 講師 (90240994)
棚橋 浩 金沢大学, がん研究所, 助手 (90236654)
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Keywords | 細胞内シグナル伝達 / MAPキナーゼ / 足場タンパク質 / JNK / 精子形成 / 心筋分化 |
Research Abstract |
哺乳類MAPキナーゼ(MAPK)経路の足場タンパク質はシグナル伝達の特異性維持に関わる因子であるが、詳細については不明な点が多い。また、足場タンパク質の生理的機能についてもほとんど知見は得られていない。我々は、自らのグループが同定した哺乳類ストレス応答MAPK経路の足場タンパク質JSAP1,JSAP2,JNKBP1について解析を行っており、今年度の研究成果は以下の通りである。 1.胚様体形成法によるin vitro分化系を用い、Jsap1ノックアウト(KO)マウスES細胞を解析した。その結果、JSAP1は中胚葉から心筋への分化過程において正の因子として機能することを見出した。一方、JSAP1は心筋以外の中胚葉由来の細胞系譜については抑制的に作用することが強く示唆された。 2.マウス精子形成過程におけるJSAP1の発現解析を行い、JSAP1タンパク質はセルトリ細胞やライディヒ細胞では発現が認められず、特定の生殖細胞(精原細胞および精母細胞)で発現することを見出した。 3.小脳初代培養系を用いた解析により、JSAP1は顆粒細胞の分化促進因子であることが強く示唆された。 4.JNK MAPK経路に非依存的なJSAP1の機能、あるいはJNK MAPK経路とオーバーラップしたJSAP1の機能については不明な点が多い。そこで、JNK結合能を欠失した変異JSAP1ノックインマウスを作出した。また、独立した2種類のマウスES細胞に由来するJsap1コンディショナルKOマウスを作出した。 5.JSAP1は、Toll-like受容体TLR4との相互作用を介してTLR4シグナル伝達系に関与することが報告されている。しかし、酵母2ハイブリッド法およびトランスフェクションによる発現-免疫沈降法による解析では、JSAP1-TLR4の相互作用は認められなかった。さらに、RNAi法によりJSAP1ノックダウン(KD)安定RAW264.7細胞株を樹立し、LPS刺激に応答したJNKシグナル伝達系を調べた。その結果、野生型とKD細胞株で有意な差異は認められなかった。 6.Jsap2およびJnkbp1 KOマウス作出に着手し、キメラ率の高いマウスを得た。
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