2003 Fiscal Year Annual Research Report
線虫C.elegansをモデル動物としたストレス応答シグナル伝達経路の解析
Project/Area Number |
14086206
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
久本 直毅 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80283456)
|
Keywords | C.elegans / ストレス / MAPキナーゼ |
Research Abstract |
申請者は、線虫C.elegansをモデル動物として、ストレス応答型MAPKカスケードの機能を解析している。本年度は、ストレスとして亜ヒ酸(アルセナイト)を用いて、個体レベルでのストレス応答とMAPKかすケードとの関係について調べた。その結果、線虫にアルセナイトを投与すると、p38MAPKの線虫ホモログであるPMK-1が活性化することが明らかとなった。PMK-1の上流因子を探索したところ、SEK-1がこの活性化に必須であることが判明した。SEK-1の上流の因子としては、これまでにNSY-1が報告されている。そこで、NSY-1の関与を調べたが、NSY-1はこの応答には部分的にしか関与していないことが判明した。また、PMK-1変異体とSEK-1変異体はアルセナイトに対して野生型よりも感受性が高く、野生型が致死にならない濃度で致死性を示した。さらに、sek-1変異体のアルセナイト感受性は、SEK-1遺伝子を腸特異的に発現させることによりレスキューされた。これらのことから、アルセナイトに対するストレス応答には、SEK-1-PMK-1からなるキナゼカスケードが腸で活性化することが必須であることが明らかとなった。 PMK-1の下流で機能する因子を探索したところ、グルタチオン合成の律速酵素であるGCSの線虫ホモログGCS-1がアルセナイトストレスによSEK-1-PMK-1カスケード依存的に発現誘導されることが判明した。哺乳動物ではGCSは転写因子Nrf2により転写制御されることが報告されている。そこで、Nrf2の線虫ホモログであるSKN-1の関与を調べたところ、SKN-1はアルセナイトストレスによるGCS-1の転写誘導に必須であることが判明した。さらに、SKN-1はアルセナイトにより核に移行するが、この核移行にSEK-1が必須であることを見い出した。
|
Research Products
(1 results)