2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14087202
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡田 典弘 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (60132982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 哲 WWFジャパン, 世界自然保護基金, 自然保護室長・研究職
渡邉 正勝 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助手 (90323807)
大島 一彦 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 講師 (60282852)
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Keywords | シクリッド / 種形成 / 多様化 / 光受容体遺伝子 / 顎・歯 / 性決定 |
Research Abstract |
東アフリカに生息する湖産カワスズメ科魚類(シクリッド)のゲノムの多様化を検出し、その多様化がシクリッドの種分化種形成の過程でどのような役割を果たしてきたのか解明することを目的とする。シクリッドの特徴として、(1)体色・模様の多様化、(2)顎部形態の多様化、(3)生殖・保育様式の多様化等が挙げられる。(1)に関しては、光受容体遺伝子のひとつRH1遺伝子をシクリッド28種から取得後タンパク質を培養細胞で発現・再生させ、波長感受性を調べた。湖の深場に生息している数種において、83番目のアスパラギン残基、292番目のセリン残基により最大吸収波長が通常のRH1タンバク質に比べ5-15nm程短波長にシフトしていることがわかった。また、光受容体遺伝子LWSに関しても同様な実験から最大吸収波長が種間で異なることが明らかになった。この波長シフトは光環境に合わせ適応的に進化した結果であると示唆された。(2)に関して、DNAチップを用いて顎部において硬骨の形成が開始される受精後15日〜20日の遺伝子発現を種間で比較した。その結果、ヒトの形態異常を引き起こす遺伝病の原因遺伝子の発現が、シクリッドの種間で異なる発現様式を示すことが分かった。現在、これらの遺伝子の機能解析をゼブラフィッシュへの遺伝子導入により解析中である。また、これとは別にDNAチップにより検出された、形態形成に関与することが示唆されているメタロプロテアーゼの機能解析を進めたところ、ゼラチンやフィブロネクチンなどを分解する活性を有していることが明らかになった。これらのタンパク質は細胞外マトリクスの主要な構成成分であり、この再構成が器官の形態形成に非常に重要な役割を果たしていることから、本遺伝子がシクリッド形態の多様化に関与していることが示唆された。(3)に関して、性決定遺伝子のDMOとDMRT1の湖(生息地)別の雌雄における遺伝子発現解析をしたところ湖間で発現パターンが異なり、これらの遺伝子による性の決定機構種、さらには、性比に基づく集団の形成などの観点から、シクリッドの多様化に何らかの関与があるものと予想される結果を得た。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Terai Y., Takahashi K., Nishida M., Sato T., Okada N.: "Using SINEs to Probe Ancient Explosive Speciation : "Hidden" Radiation of African Cichlids?"Mol.Biol.Evol.. 20. 924-930 (2003)
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[Publications] Watanabe M., Kobayashi N., Fujiyama A., Okada N.: "Construction of a BAC library for Haplochromis chilotes, a cichlid fish from Lake Victoria."Genes Genet Syst. 78(1). 103-105 (2003)
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[Publications] Terai Y., Morikawa N., Kawakami K., Okada, N.: "The complexity of alternative splicing of hagoromo mRNA is increased in an explosively speciated lineage in east African cichlids."Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 100. 12798-12803 (2003)
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[Publications] Terai Y., Takezaki N., Mayer W.E., Tichy H., Takahata N., Klein J., Okada, N.: "Phylogenetic relationships among East African Haplochromine fish as revealed by short interspersed elements (SINEs)."J.Mol.Evol.. 58. 64-78 (2004)