2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14087204
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
荻原 保成 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 教授 (40185533)
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Keywords | 倍数性のコムギ / 種分化 / ミトコンドリアゲノム構造 / ゲノムの複雑性 / 組み換え / 核・細胞質雑種 / ミトコンドリアゲノムの伝達 / 花粉からのmtDNAの伝達 |
Research Abstract |
コムギは倍数化により進化してきたことを特徴とする。パンコムギは倍数化する際、異種間の異なるゲノムを組み合わせた(異質倍数性:ゲノム式AABBDD)。本研究は、倍数性コムギとその祖先種をモデルシステムとして、遣伝子の構造と環境に応答した遺伝子発現パターンをゲノム生物学的に解析する。また、新たに交雑により、人工倍数種を作成し、倍数化の過程における遣伝子構造と発現調節機構を分子遺伝学的に解析する。これらの解析により、植物ゲノムの倍数化による種形成の分子機構を研究する、ことを目的とする。 コムギ属における核・細胞質雑種系統の体系的解析から、遺伝的に雄蕊が雌蕊化するAe.crassaの細胞質をもつ核置換コムギ((cr)-CS)を見出した。ミトコンドリア(mt)遺伝子のRFL分析から3種cr-mt遺伝子の先導領域に構造変異が生じていることを明らかにした。パンコムギChinese Spring(CS)とcrの3種遺伝子近傍領域の全塩基配列を決定して構造変異を確定した。それぞれの遺伝子構造を特異的に増幅するPCRプライマーを合成し、PCR解析を行ってみると、CR、CSそれぞれにそれぞれのタイプのミトコンドリア遺伝子が混在していた。定量PCR法でそれぞれのタイプの存在比を推定してみると、母性遺伝すると考えられるメジャーなタイプの他に、花粉から伝達されたと考えられるマイナーなタイプのものが約30%混在していた。これらの遺伝様式を確かめるために、雑種第1代のタイプを定量PCR法で解析してみると、マイナーなタイプのものは約20%であった。戻し交配を繰り返すうちに、花粉から伝達されたmt遣伝子タイプが増加したものと推察された。遺伝子の発現を調べてみると、メジャーなものがほとんど(99.99%)であり、花粉から伝達されたmt遣伝子タイプはサイレンシングがかっていた。種形成のキーとなる雑種でのミトコンドリア遺伝子の伝達様式と発現調節システムを明らかにした。 2)アルミニウム応答遺伝子の構造を3種ゲノムで比較した。同遺伝子のプロモーター構造が3種ゲノムで異なっており、新たな遺伝子発現調節システムの存在が示唆された。
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Research Products
(1 results)