2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14101004
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Research Institution | The Middle Eastern Culture Center in Japan |
Principal Investigator |
大村 幸弘 (財)中近東文化センター, 学術局, 主任研究員 (10260142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 大輔 (財)中近東文化センター, 学術局, 研究員 (20280670)
中井 泉 東京理科大学, 理学部, 教授 (90155648)
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Keywords | カマン・カレホユック / 文化編年 / ヒッタイト帝国時代 / ヒッタイト古王国時代 / アッシリア植民地時代 / 円形遺構 / 土器製作 / 冶金技術 |
Research Abstract |
第20次カマン・カレホユック発掘調査は、2005年6月20日〜9月23日まで行った。本プロジェクトの主目的は、カマン・カレホユック遺跡の前2千年紀の『文化編年の再構築』である。これまで北区で前2千年紀の文化層として、上層から第IIIa層-ヒッタイト帝国時代、第IIIb層-ヒッタイト古王国時代、第IIIc層-アッシリア植民地時代を確認している。 2005年の調査では、第IIIb層、第IIIc層の2層の発掘を行った。ヒッタイト帝国の成立過程を把握する上で、帝国成立以前を詳細に検討する必要がある。幸いにも当遺跡には、既述したヒッタイト帝国、ヒッタイト古王国、そしてアッシリア植民地の3文化層が重層しており、この研究テーマを考察する上では極めて有効な遺跡と言える。第IIIb層からは、5基の大形円形遺構とそれに伴う建築遺構の一部が確認されており、これらが次の第IIIa層-ヒッタイト帝国時代にどの様に関わってくるのか、また第IIIc層-アッシリア植民地時代の大火災を受けた文化が、第IIIb層-ヒッタイト古王国時代にどの様な影響を与えたかを第20次発掘調査を通して考察した。今シーズンは、建築構造、土器製作-轆轤製作技法、青銅製品製作-冶金技術などの観点から、カマン・カレホユックの第IIIb層の文化が、第IIIc層-アッシリア植民地時代の文化的影響を強く受けていることが明らかとなり、ヒッタイト帝国が古代中近東で覇権を握る背景を考察する上では、前2千年紀前半の文化を詳細に分析する必要が出てきている。前2千年紀初頭は、既存のアナトリアの文化とメソポタミアから交易のために入ってきたアッシリア商人の文化が融合する時期でもあり、その文化層もカマン・カレホユック遺跡から確認されている。そしてこの文化層中にヒッタイト帝国特有の土器形態が既に存在していることも調査で明らかとなってきており、本プロジェクトの『文化編年の再構築』を推進する上で重要な意味を持つものと考えている。
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