2004 Fiscal Year Annual Research Report
超高分解能光電子分光装置の開発と高温超伝導体準粒子の研究
Project/Area Number |
14102006
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 隆 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00142919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 宇史 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10361065)
相馬 清吾 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
松井 浩明 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 高温超伝導体 / 角度分解光電子分光 / 準粒子 / 超伝導ギャップ / フェルミ面 |
Research Abstract |
本年度は、建設を進めている「超高分解能光電子分光装置」に以下の改良・改造を行い、実効エネルギー分解能および角度分解能の向上を達成した。 1.光電子検出システム(チャンネルプレート、CCDカメラ等)の交換と高感度化調整を行い、計数効率と角度分解能の向上を達成した。 2.回折格子やスリットの最適化調整を行い、測定時の真空度向上と試料表面上の光スポットサイズを縮小させる事に成功し、実効エネルギー分解能の向上を達成した。 3.劈開が難しい単結晶の表面を作成する試料作製槽の設計製作を行った。 上記の装置の改良・調整と並行して、高温超伝導体およびその関連物質について測定を行い、以下の新しい知見を得た。 1.電子型高温超伝導体Nd_<2-x>Ce_xCuO_4(NCCO)の高分解能ARPESを行い、ホットスポット近辺で擬ギャップを見出し、それが反強磁性相関に起因するバンドの折り返しで説明できることを見出した。 2.電子型高温超伝導体Pr_<1-k>LaCe_xCuO_4(PLCCO)の超伝導ギャップの異方性を測定し、ギャップ対称性が単純なd_<x^2-y^2>波からずれ、ホットスポット付近で最大となっていることを初めて観測し、超伝導機構に磁気的相互作用が関与していることを見出した。 3.ホール型高温超伝導体Bi_2Sr_2CaCu_2O_8に1%程度のZn,Ni,Co不純物を添加し高分解能ARPES測定を行った。その結果、フェルミ面形状・体積は変化しないものの、超伝導コヒレントピークの減少とギャップ内準位の生成が起きていることを見出した。 4.水和コバルト超伝導体のフェルミ面を超高分解能ARPESより決定することに成功し、バンド計算から予測され、超伝導機構に関与すると考えられていたブリルアンゾーンK点付近の小さな電子フェルミ面が存在していないことを見出した。
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Research Products
(22 results)