2005 Fiscal Year Annual Research Report
応力誘起変態制御によるインバー合金の開発と工業材料への展開
Project/Area Number |
14102030
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石田 清仁 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20151368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
貝沼 亮介 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20202004)
大沼 郁雄 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20250714)
山内 清 東北大学, 先進医工学研究機構, 教授 (70375202)
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Keywords | インバー合金 / 熱膨張 / 形状記憶合金 / 2方向性形状記憶合金 / Cr-Zn-Al合金 |
Research Abstract |
合金の熱膨張係数は一般に融点に反比例するので、材料固有のものでありその制御は極めて困難であると考えられている。本研究はこれら従来の常識を越え、相変態を利用して熱膨張係数を制御する方法を確立することを目的とするものである。本年度の研究業績は次の通りである。 1.加工によるマルテンサイト変態温度変化に関する実験と熱力学的解析 本研究で実現する低熱膨張特性は加工でマルテンサイト変態温度幅を広げることがひとつのポイントであるため、その機構について、Cu合金及びTi-Ni合金において実験及び熱力学的解析を行った。マルテンサイト変態に関する応力と温度の関係(δσ/δT)としてClausius-Clapeyronの関係が知られており、δσ/δTは変態エントロピー変化、変態歪み量、体積変化により決められることを示している。δσ/δTはCu-Al-Mnで1.3MPa/K、Ti-Niでは5.0MPa/Kであることが実験的に求められ、Ti-Niで低熱膨張を得るために必要な圧延率はCu-Al-Mnの約4倍である実験結果とよく一致する。これら合金による相違は主に変態エントロピー変化によることがClausius-Clapeyronの関係により説明できた。これにより、低熱膨張特性を得るための加工率を変態エントロピー変化、変態歪み量、体積変化から見積もることが可能である。 2.結晶粒径と低熱膨張特性の関係 多結晶合金では一般的に結晶粒径が材料の諸特性に影響を及ぼすことが多い。そのため、導電性の高いCu-Zn-Al合金を用いて結晶粒径を変化させたときの熱膨張特性を調査した。その結果、結晶粒径が大きくなると、低熱膨張を得るための冷間圧延率は大きくなることが判明した。これは、結晶粒径が大きくなると変態誘起応力の温度依存性δσ/δTは大きくなり、低熱膨張特性を得るためにはより大きな応力場を必要とするためであるからと説明できる。また、粒径が大きいほど低熱膨張温度幅も大きくなることがわかった。
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Research Products
(3 results)