2003 Fiscal Year Annual Research Report
海洋有機物プールのダイナミックスと地球表層物質循環の長期変動との関わり
Project/Area Number |
14103001
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田上 英一郎 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (50133129)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 民人 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助手 (60313988)
北川 浩之 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助教授 (00234245)
|
Keywords | 海洋有機物プール / アミノ酸含有有機物 / 懸濁態有機物 / 溶存態有機物 / タンパク質 / ペプチド / 相互作用 / 蛍光特性 |
Research Abstract |
海洋有機物プールを構成する懸濁態及び溶存態有機物について、特にアミノ酸含有有機物に関して多くの成果を得た。以下に15年度の主要な研究実績を要約する。 ・伊勢湾口から黒潮以南に至る観測線および相模湾で得られた溶存有機物に関する観測結果および分子量、アミノ酸、蛍光特性、等の解析結果より、1)アミノ酸含有有機物の大部分は分子星5,000以下の画分に存在すること。2)これらのアミノ酸は単に低分子であるだけでなく、蛍光特性から、タンパク質分解産物であるペプチドであること。3)分子量5,000以上の画分については、表層水中ではタンパク質及びポリペプチドが存在するが、深層水中では、高分子画分であってもアミノ酸はペプチドとして存在し、限外濾過時に生じる専断力では破壊されない相互作用により、高分子であるかのように挙動していること。等がわかった。 ・北部北太平洋・ベーリング海から赤道太平洋に至る広範な海域から得られた表層懸濁態有機物試料について、TCA沈殿法、電気泳動法、アミノ酸分析、等を組み合わせることにより、4)懸濁態有機物中のアミノ酸は、大きく分ければ、生物体と同じタンパク質、酸性糖と共有結合するペプチドそして5-8個及び1-4個のアミノ酸で構成される2グループのペプチドの4者に分類されること。5)量的には、酸性糖と共有結合するペプチドと1-4個のアミノ酸で構成されるペプチドの2者が大部分であること。等がわかった。 海洋に存在するアミノ酸は生物体のタンパク質に由来する。懸濁態及び溶存態を問わず非生物態有機物アミノ酸の大部分がペプチドとして存在することを明らかにした本研究は、有機物プールの生成・維持機構に新たなパラダイムを与える。即ち、有機物プール中のダイナミックスは、比較的低分子の有機物の相互作用により、決定されていることを示唆するものである。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Yamashita, Y., E.Tanoue: "Distribution and alternation of amino acid in bulk DOM along the transect from bay to oceanic waters"Marine Chemistry. 82. 145-160 (2003)
-
[Publications] Yamada, N, E.Tanoue: "Detection and partiai eharacterization of dissolved glycoproteins in oceanic waters"Limnology and Oceanography. 48・3. 1037-1048 (2003)
-
[Publications] Yamashita, Y., E.Tanoue: "Chemical characterization of protein-like fluorophores in DOM in relation to aromatic amino acids"Marine Chemistry. 82. 255-271 (2003)
-
[Publications] Ogawa, H., E.Tanoue: "Dissolved organic matter in oceanic waters"Journal of Oceanography. 59. 129-147 (2003)
-
[Publications] Yamashita, Y., E.Tanoue: "Chemical characteristics of amino acid-containing dissolved organic matter in seawater"Organic Geochemistry. (accepted). (2004)
-
[Publications] Saijo, S., E.Tanoue: "Characterization of particulate proteins in Pacific surface waters"Limnology and Oceanography. (accepted). (2004)
-
[Publications] 北川浩之: "環境考古学ハンドブック(安田喜憲編)"朝倉書店. 706 (2004)