2003 Fiscal Year Annual Research Report
層状酸化物熱電材料の自己組織化配向制御による高効率化
Project/Area Number |
14103008
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
河本 邦仁 名古屋大学, 工学研究科, 文部科学教官教授 (30133094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 佳丈 名古屋大学, 工学研究科, 文部科学教官助手 (20324460)
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Keywords | 熱伝材料 / 酸化物 / 層状構造 / 自己組織化配向 / 構造異方性 / 単結晶合成 / 微細構造 / PTGG法 |
Research Abstract |
我々はZnO-In_2O_3系ホモロガス相n型熱電酸化物セラミックスにおいて、自己組織的配向化が熱電変換効率向上に極めて有効であることを見出したが、微細構造(粒界)による性能低下の可能性については不明であった。そこで本年度は、フラックス法により比較的大きな単結晶を世界ではじめて合成し、これの熱電物性を精密に測定することにより微細構造効果を明らかにし、この物質の限界熱電性能を推定することとした。その結果、(ZnO)_5In_2O_3単結晶のin-plane導電率はout-of-plane導電率に比べて約100倍高く、大きな構造異方性を持つことを見出した。また、配向セラミックスに比べてin-planeゼーベック係数は小さいが、出力因子(Power factor)は高温で上昇することが判明した。この事実は粒界等の微細構造因子が性能を低下させているかに見えるが、さらにイットリウム(Y)をInに部分置換した系(これがセラミックスでは最大性能を示す)の単結晶を育成し詳細な検討を行ったところ、単結晶および配向セラミックスのin-plane物性に大きな差がないことが判明し、この系では微細構造効果は無視しうることを提案した。さらに、極限性能としてZT〜0.5程度までは達成可能との見通しを得た。 P型酸化物熱電材料である層状カルシウムコバルト酸化物([Ca_2CoO_3]_<0.62>[CoO_2])については、自己組織的配向化による性能向上の可能性を検討した。組織配向手法としてRTGG法を用いたが、層状水酸化物でしかも板状結晶粉末が得られるβ-Co(OH)_2を新しい原料として用いた。これとCaCO_3粉末を混合、スラリー化、テープキャスト、切断、シート積層、プレス、ホットプレス焼結することにより緻密配向焼結体(f>0.99)を作製した。In-plane導電率はout-of-plane導電率より約1桁高く、単結晶ほどではないが構造異方性を示した。これに対して、ゼーベック係数の異方性は小さいことから、キャリア移動度の異方性が高いことが推定された。自己組織的配向化によりZT=0.26@1060Kが達成されたが、この値は他のグループが報告している配向多結晶の値とほぼ同等で、単結晶の値より大幅に低い。これは微細構造制御の重要性を示す結果と解釈された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] O.Malochkin, W.S.Seo, K.Koumoto: "Thermoelectric Properties of (ZnO)_5In_2O_3 Single Crystal Grown by a Flux Method"Jpn.J.Appl.Phys.. 43(2A). L194-L196 (2004)
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[Publications] Y.Masuda, D.Nagahama, H.Itahara, T.Tani, W.S.Seo, K.Koumoto: "Thermoelectric Performance of Bi- and Na-Substituted Ca_3Co_4O_9 Improved hrough Ceramic Texturing"J.Mater.Chem.. 13. 1094-1099 (2003)
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[Publications] C.H.Pai, K.Koumoto: "The Effect of Powder Oxidation on the Thermoelectric Properties of β-FeSi_2"J.Kor.Ceram.Soc.. 40(11). 1106-1112 (2003)
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[Publications] O.Malochkin, W.S.Seo, Y.Ono, T.Kajitani, K.Koumoto: "Anisotropy in Electrical Conductivity of (ZnO)_5In_2O_3 Single Crystal Grown by a Flux Method"J.Ceram.Soc.Japan. (In press). (2004)
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[Publications] O.Malochkin, W.S.Seo, K.Koumoto: "Single Crystal Growth of Homologous Compounds in the ZnO-In_2O_3 System and Thermoelectric Properties"Proc.22^<nd> Int.Conf.Thermoelectrics. 167-170 (2003)
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[Publications] H.Itahara, C.Xia, Y.Seno, J.Sugiyama, T.Tani, K.Koumoto: "Synthesis of Textured Thermoelectric Layered Cobaltites by Reactive Templated Grain Growth"Proc.22^<nd> Int.Conf.Thermoelectrics. 188-191 (2003)
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[Publications] 河本邦仁: "酸化物熱電変換材料の将来"未来材料. 3(5). 30-37 (2003)
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[Publications] 河本邦仁(分担執筆): "先端化学シリーズII"丸善(株). 330 (2003)