2004 Fiscal Year Annual Research Report
層状酸化物熱電材料の自己組織化配向制御による高効率化
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14103008
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
河本 邦仁 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (30133094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 佳丈 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (20324460)
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Keywords | 酸化物熱電材料 / 層状構造 / 配向セラミックス / 自己組織化 / 亜鉛インジウム酸化物 / チタン酸ストロンチウム / カルシウムコバルタイト / トポタクティック反応 |
Research Abstract |
平成16年度は、層状亜鉛インジウム酸化物(ZnO)_5In_2O_3の単結晶をフラックス法で合成することに初めて成功し、熱電特性の再検討を行った。その結果、導電率の構造異方性が相当大きく、in-plane導電率がcross-plane導電率の約100倍高いことを明らかにし、高効率化のために配向セラミックス化が重要であることを再確認した。さらに、イットリウム置換単結晶において、その出力因子が自己組織配向したセラミックスの最高値とほぼ同程度の値を示すことを明らかにした。この結果を受けて、この酸化物材料系の最高性能はZT<0.5と判断することができた。 そこで、これまでの材料探索指針とは正反対の指針により亜鉛インジウム酸化物に代わるN型材料の探索を行い、SrTiO_3が有力な候補材料であることを提案した。これは、良質の単結晶およびエピタキシャル薄膜を用いて特性評価を行って見出したもので、ニオブを大量にドープした系で、1,000Kでの最高ZTが0.37まで達成できることを明らかにした。 さらに、P型熱電材料として高性能かつ高温安定性に優れたCaコバルタイトの自己組織的配向化メカニズムを詳細に追跡した。板状Co(OH)_2粉末と炭酸カルシウムCaCO_3粉末を混合してスラリーとし、これをテープ成形、積層、焼成して配向セラミックスを作製するが、その反応過程をXRD、熱分析、TEM等を駆使して調べた。その結果、Co(OH)_2→Co_3O_4→CaCo_2O_4→Ca_3Co_4O_9に変化する過程で、結晶配向が一定の関係を保ってトポタクティックに反応が進行して、最終的な組織配向が達成されることを明らかにした。 数nm厚みのNa_xCoO_2とCo_3O_4の板状粒子が交互に積層したナノ超格子構造を、自己組織的に構築することに成功した。Co_3O_4の熱電特性が低いために、超格子特有の性能向上は見られていないが、バルク体が自己組織的に簡単に作製できる本プロセスは極めて斬新で、ナノ構造制御法の一つとして提案した。
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Research Products
(6 results)