2006 Fiscal Year Annual Research Report
層状酸化物熱電材料の自己組織化配向制御による高効率化
Project/Area Number |
14103008
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
河本 邦仁 名古屋大学, 大学院工学研究科, 教授 (30133094)
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Keywords | カルシウムコバルタイト / エピタキシャル薄膜 / トポタクティック反応 / チタン酸ストロンチウム / 2次元電子ガス(2DEG) / 人工超格子 / ゼーベック係数 / 熱伝導率 |
Research Abstract |
エピタキシャル成長と固相反応を独立に行うことにより、複雑な層状構造を有する複合金属酸化物の高品質エピタキシャル薄膜を作製する手法:反応性固相エピタキシャル成長(R-SPE)法を層状コバルト酸化物に適用し、高性能化・高効率化を試みた。先ず、CoOエピタキシャル薄膜とNaHCO_3粉末を反応させてNa_xCoO_2エピタキシャル薄膜を作製し、得られた薄膜中のNaをSrやCaなどのアルカリ土類金属にトポタクティックにイオン交換するというユニークな薄膜成長法を開発した。これにより、バルク単結晶と同等の熱電特性を示す高品質Ca_3Co_4O_9エピタキシャル薄膜の作製に成功した。 n型酸化物熱電材料SrTiO_3を高効率化するために低熱伝導化を試みた結果、SrTiO_3のSr^<2+>サイトをイオン半径のほぼ等しいEu^<2+>で置換した(Eu_xSr_<1-x>)(Ti_<0.8>Nb_<0.2>)O_3緻密焼結体において、電子輸送に影響を及ぼすことなく、格子熱伝導を抑制することに成功し、最大ZT=0.39@1000Kまで向上することを示した。さらに高効率化を狙って、層状構造をとるSrTiO_3系Ruddlesden-Popper相(自然超格子)に着目し、界面フォノン散乱による熱伝導率の大幅な低減を試みた。しかし、熱伝導率は予想通り低減できたものの、[TiO_6]八面体の歪(変形)が原因でキャリア有効質量が減少し、性能が大きく低下することが判明した。 TiO_2/SrTiO_3エピタキシャル薄膜ヘテロ界面に自然に形成される高濃度(n_e〜10^<21>cm^<-3>)2DEGのSeebeck係数がバルクSrTiO_3の約5倍になることを見出した。高濃度2DEGの層厚及びキャリア濃度を厳密に制御して多重量子井戸化することにより、極めて変換効率の高い熱電変換薄膜が実現すると期待されるため、障壁層及び井戸層としてそれぞれSrTiO_3及び20%-NbドープSrTiO_3(Nb:SrTiO_3)を用いた人工超格子を作製した。Nb:SrTiO_3層が1単位格子厚になったときにバルクの約4.4倍という巨大Seebeck係数が得られた。単結晶の熱伝導率を適用して室温ZTを見積もったところ、ZT=2.4の世界最高値を示した。
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Research Products
(21 results)