2003 Fiscal Year Annual Research Report
超好熱始原菌T.kodakaraensis KOD1の全遺伝子機能解析
Project/Area Number |
14103011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今中 忠行 京都大学, 工学研究科, 教授 (30029219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金井 保 京都大学, 工学研究科, 助手 (10346083)
福居 俊昭 京都大学, 工学研究科, 助手 (80271542)
跡見 晴幸 京都大学, 工学研究科, 助教授 (90243047)
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Keywords | ゲノム科学 / 遺伝子機能解明 / 超好熱菌 / Thermococcus / proteome / 遺伝子破壊 / 始原菌 / DNA chip |
Research Abstract |
今年度は(1)網羅的遺伝子破壊研究のための宿主細胞の構築、(2)DNA chipを利用したtranscriptome解析、(3)多数の遺伝子および発現産物の生化学的解析、(4)遺伝子破壊による遺伝子の生理学的機能の解析、を進めた。以下に本年度成果の例をいくつか挙げる。 ・KOD1株の全ゲノム解析に基づいたDNA chipの作製とtranscriptome解析 KOD1のゲノム上に存在する2,306個の遺伝子の内、2,226個の遺伝子に対応するDNA chipを作製し、温度変化や炭素源の違いに着目した解析を行った。標識には異なる蛍光波長をもつ色素Cy3(570nm)およびCy5(670nm)を用い、Cy3-dUTPまたはCy5-dUTP存在下での逆転写反応により色素を導入した。異なる条件下で培養したtranscriptomeを比較した結果、培養条件により転写が制御されている遺伝子を多数同定することができた。 ・遺伝子破壊による機能解明 我々はKOD1株内に新型FBPase(Tk-Fbp)の存在を発見し、本酵素がFBPに対して特異性の高い酵素であること、糖新生条件下でその発現量が増加すること、ゲノム解析が行われた全ての超好熱始原菌内にTk-Fbpの相同遺伝子が存在することなどを報告してきた。一方で、他の超好熱始原菌では異なる遺伝子の産物であるinositol monophosphatase(IMPase)がin vitroで高いFBPase活性を示したことから超好熱始原菌においてはIMPaseがFBPaseの役割を果たしていることが提案された。そこで、我々が開発した遺伝子破壊系を利用して、それぞれの遺伝子の欠損株を作製した(ΔTk-fbp,ΔTk-imp)。2種の欠損株をデンプンまたはピルビン酸を含む最少培地で培養したところ、デンプン存在下では双方の欠損株が宿主細胞と同等の生育を示したのに対して、ピルビン酸存在下ではΔTk_imp株は生育したが、ΔTk-fbp株は生育できないことが明らかとなった。この結果より、KOD1株内で糖新生に関与する遺伝子はTk_fbp遺伝子であり、Tk-impはFBPaseとして機能していないことが判明した。したがって、超好熱始原菌における真のFBPaseは我々の同定した遺伝子産物であることが強く示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Atomi, T.Fukui, T.kanai, M.Morikawa, T.Imanaka: "Description of Thermococcus kodakaraensis sp. nov., a well studied hyperthermophilic archaeon previously reported as Pyrococcus sp KOD1"Archaea. 1・4(in press). (2004)
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[Publications] T.kanamori, N.Kanou, H.Atomi, T.Imanaka: "Enzymatic characterization of a prokaryotic urea carboxylase"J.Bacteriol.. 186・9(in press). (2004)
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[Publications] T.Amo, H.Atomi, T.Imanaka: "Biochemical properties and regulated gene expression of the superoxide dismutase from the facultatively aerobic hyperthermophile, Pyrobaculum calidifontis"J.Bacteriol.. 185・21. 6340-6347 (2003)
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[Publications] T.Tanaka, T.Fukui, H.Atomi, T.Imanaka: "Characterization of an exo-β-D-glucosaminidase involved in a novel chitinolytic pathway in Archaea"J.Bacteriol.. 185・17. 5175-5181 (2003)
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[Publications] T.Sato, Toshiaki Fukui, H.Atomi, T.Imanaka: "Targeted gene disruption by homologous recombination in the hyperthermophilic archaeon Thermococcus kodakaraensis KOD1"J.Bacteriol.. 185・1. 210-220 (2003)
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[Publications] 跡見晴幸, 今中忠行: "超好熱菌の高温環境適応戦略"生化学. 75・7. 561-575 (2003)