2004 Fiscal Year Annual Research Report
超好熱始原菌T.kodakaraensis KOD1の全遺伝子機能解析
Project/Area Number |
14103011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今中 忠行 京都大学, 工学研究科, 教授 (30029219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
跡見 晴幸 京都大学, 工学研究科, 助教授 (90243047)
福居 俊昭 京都大学, 工学研究科, 助手 (80271542)
金井 保 京都大学, 工学研究科, 助手 (10346083)
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Keywords | ゲノム科学 / 遺伝子機能解明 / 超好熱菌 / Thermococcus / 新規代謝系 / 遺伝子破壊 / 始原菌 / DNA chip |
Research Abstract |
本年度の主な研究成果は以下の通りである。 1)Thermococcus kodakaraensis全ゲノム塩基配列のannotation : KOD1株ゲノムは2,088,737bpからなり、タンパクをコードしているORFは2,306個と推定された。翻訳後アミノ酸配列をNCBI COGsデーターベースを対象とした相同性解析および機能推定を行ったところ、1165個のORFについてはなんらかの機能推定が可能であったが、残りは推定不可能であった。また261個についてはCOGsデータベース中に相同タンパクがなく、T.kodakaraensis固有のタンパク質であった。 2)T.kodakaraensisの遺伝子破壊(交換)系の利用:我々が構築した超好熱菌特異的遺伝子破壊系を利して、超好熱菌における真のfructose 1,6-bisphosphataseを同定した。また、この系を利用し、超好熱菌固有の唯一の遺伝子であるreverse gyrase遺伝子を破壊した。その結果、これまで地質学的研究や進化系統的研究から示唆されてきたhot origin of lifeが、超好熱菌に必須であると考えられ、かつ2つの異なるタンパク質ファミリーが進化した後に出現した酵素であるreverse gyraseの存在により否定されていたが、少なくとも90℃までは生命が発生し得るというシナリオが成り立つことを示すものである。 3)新規な代謝系の発見:我々は新規なchitin分解系を発見した。ChitinはTk-ChiAにより2糖にまで分解され、生じたGlcNAc_2はTk-Dacにより非還元末端のアセチル基が除かれ、その後、Tk-GlmAによりGlcNとGlcNAcに分解される。さらにGlcNAcもTk-DacによりGlcNとなる。生じたGlcNはhexokinaseホモログにより、GlcN6Pにリン酸化、最終的にGlcN6PがTk-GlmDによりFru6Pに変換されて解糖系へ入り利用される。我々はまた新規phosphopentomutaseおよび2-deoxyribose 5-phosphate aldolaseを同定することにより、解糖系とpentose代謝を結ぶ新しい代謝経路を発見した。さらにKOD1株由来hosphoenolpyruvate carboxykinase、malic enzymeを解析することにより細胞内C3およびC4化合物の代謝様式を明らかにし、さらに新型succinyl-CoA synthetaseを同定することにより、C4からC5化合物への変換経路を明らかにした。
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Research Products
(6 results)