2006 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属を活用したプログラム分子集合:ナノ領域物質群の創出と機能発現
Project/Area Number |
14103014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 誠 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (90209065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 正規 東京大学, 大学院工学系研究科, 助教授 (30247217)
吉沢 道人 東京大学, 大学院工学系研究科, 助手 (70372399)
佐藤 宗太 東京大学, 大学院工学系研究科, 助手
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Keywords | 自己組織化 / ナノ領域 / 官能基化 / 大環状錯体 / カテナン / 球状錯体 / ペプチド / Diels-Alder反応 |
Research Abstract |
本研究では、精密設計された有機分子と金属イオンが錯形成により自己組織化し、ナノ領域に達する巨大構造体を構築し、さらに生体分子に匹敵する機能を発現する、「自己組織化分子システム」の創出を目指している。以下に、本年度の研究成果を述べる。(1)内面と外面を化学修飾できる巨大中空構造:このM_<12>L_<24>骨格を母核に球骨格の表面および内面の精密24官能基化を行った。糖鎖官能基で球状錯体の外部を修飾することで、糖鎖認識タンパク質と相互作用する錯体を構築した。また、配位子にアセチレンをスペーサーとして導入し内部空間を広げることにより、内面24官能基化が可能になった。内面に重合性官能基を導入することで、錯体内部だけで進行する重合反応も達成した。(2)カテナン構造:配位結合リングがすり抜けてカテナン構造につながる系を過去に報告している。この研究の展開として、光誘起カテナン化を達成した。(3)ペプチドの認識と人工折り畳み:かご型錯体の内部空間に、ペプチド鎖中の隣接する3つのアミノ酸残基が包接され、その際に、特定のアミノ酸残基配列が強く認識されることを明らかにした。また、合理設計した9残基ペプチド鎖(ランダムコイル)にボウル状錯体を作用させ、αヘリックス構造を誘起できた。包接を介したペプチドβターンヘの折りたたみに成功した。(4)高立体選択的反応の創出:かご型錯体内での熱および光反応により、高収率・高立体選択的な分子間反応を開拓した。アントラセンとマレイミドの[2+4]Diels-Alder反応では、1,4-選択的に反応が進行し、前例のない環化生成物を得た。また、同じDiels-Alder反応の触媒化にも成功した。(5)配位不飽和種の直接観察:かご型錯体に遷移金属錯体を包接させ、光照射により生成した不安定配位不飽和種をケージ内に捕捉し、単結晶X線構造解析によりその構造を直接観察することに成功した。
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Research Products
(10 results)